不動産市況の活性化の影響で、「個人で不動産会社を経営できるのかな?」と興味を持つ人も多いのではないでしょうか。
今回は、個人で不動産会社を経営する際に知っておきたい平均年収・年商やメリット、デメリット、開業する流れなどを解説します。不動産経営を成功させるポイントについても3つご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
個人で不動産会社を経営することは可能?
不動産会社は、個人や少人数で経営しているところが大多数です。2023年の不動産業統計集によると、従業員数が1〜4人の割合は、全産業が57.4%に対して不動産業は86.1%でした。
また、全国宅地建物取引業協会連合会によれば、全国にある宅地建物取引業者約12.5万社のうち、約8割が法人、約2割が個人で営んでいるようです。このような状況から、不動産経営は個人もしくは少人数でも経営できるといえるでしょう。
※参考:公益財団法人不動産流通推進センター|2023年不動産業統計集
個人経営の不動産会社の平均年収・年商
個人経営の不動産会社の平均年収や年商に関しては、公的なデータがありません。そのため、ここでは「資本金1,000万円未満の不動産業」の売上高と就業人数をベースに、参考となる数値を紹介します。
公益財団法人不動産流通推進センター|2023年不動産業統計集によれば、資本金が1,000万円未満の不動産業における売上高は7兆7,065億7千万円です。資本金1,000万円未満の不動産業における就業人数は49万6,252人であるため、1人あたり約1,553万円の売上となります。
このうち、約半分が経費としてかかったと仮定するなら、利益は約777万円です。
しかし、あくまで「資本金1,000万円未満の不動産業」の売上高と就業人数をベースにした数字であり、個人経営の平均年商や年収ではないため、一つの目安としてお考えください。
※参考:公益財団法人不動産流通推進センター|2023年不動産業統計集
個人で不動産会社を始めるメリット
個人で不動産会社を始めるメリットとして、以下の3つをご紹介します。
- 仕事内容や進め方を自由に決められる
- スピーディーに対応できる
- コストを抑えられる
仕事内容や進め方を自由に決められる
個人で不動産会社を経営するメリットの一つは、仕事内容や進め方を自由に決められる点です。自分以外に業務に関わる人がいないため、経営者自身がビジネスの方向性を定め、戦略的な意思決定を下せます。
すべて自分で決められることから、得意分野や強みを生かした経営が可能です。たとえば、オフィスビルの賃貸といった自分が情報を多く持ち得意とする分野に特化したり、顧客の話を聞きニーズをつかむことが強みであれば、顧客にタイミングよく物件紹介したりといった個人のビジョンに基づいて事業を展開できるでしょう。
スピーディーに対応できる
さまざまな業務にスピーディーに対応できる点もメリットの一つです。個人経営では、自分以外に意思決定する人がいないため、市場の変化や顧客の要望に対して迅速に行動を起こすことが可能です。
複数人で不動産会社を始める場合、さまざまな場面で合意形成が必要となり、事業のスピードが鈍ってしまうことも少なくありません。
個人経営の場合、経営者自身が意思決定を下せるため、柔軟かつスピーディーな対応が実現できます。顧客の細かな要望にも素早く応えられ、より満足度の高いサービスを提供できるでしょう。
コストを抑えられる
個人経営は複数人で経営するより、経営コストを抑えられます。なぜなら、家賃や給与、光熱費などのコストが低くなるためです。初期投資の負担も少なくなり、事業の利益率を高められるでしょう。
また、不動産管理システムやアウトソーシングを利用すれば経営効率が向上し、個人でも複数人で経営するときと同じような売上を実現できる可能性もあります。
たとえば、賃貸管理システム『いい生活賃貸管理クラウド』を活用すると、物件データや顧客情報などのデータ管理を一元化できます。手間がかかる賃貸業務のさまざまな事務を効率化するとともに、ミスやトラブルを防止することが可能です。
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個人で不動産会社を始めるデメリット
次に、個人で不動産会社を始めるデメリットとして、以下の3つをご紹介します。
- 社会的な信頼性が低い
- 売上が頭打ちになりやすい
- すべての責任が自分にのしかかる
それぞれ解説します。
社会的な信頼性が低い
個人で不動産経営をする場合、経営の規模が小さくなってしまうため、金融機関から信頼を得にくくなる恐れがあります。経営の状況によっては、個人の資産まで債務の対象となるリスクもあるでしょう。
また、大手企業に比べて権威性や知名度も低いため、なかなか集客につながらないケースも想定されます。個人で開業する際は十分な資金計画を立てて、どのように集客していくかのマーケティング施策をしっかりと練ることが重要です。
売上が頭打ちになりやすい
個人で不動産経営をする場合、リソース不足や時間の制約などが理由で、事業の拡大が限られてしまう可能性もあります。
とくに、不動産業界は競合の資本力が強いうえに事務作業の量も多いため、個人経営では市場での競争力が低下する恐れもあるでしょう。営業活動や契約の締結、事務作業などのさまざまな業務を一人で行わなければなりません。業務量が多くなるため、精神的にも体力的にも疲弊してしまう可能性があります。
すべての責任が自分にのしかかる
個人で不動産経営をすると、自分がすべての責任を負わなければなりません。不動産取引では、「売る側・買う側」「貸す側・借りる側」といったように関係者が多く、万が一トラブルが起きた場合、クレームの処理や法的な対応などはすべて自分で対応する必要があります。
さらに、体調不良や怪我などで仕事ができなくなると、売上が大幅に減少する可能性がある点もデメリットといえるでしょう。
不動産会社を開業する流れ
不動産会社の開業を考えている方は、あらかじめ開業の流れを知っておくことが大切です。一般的には以下の手順で進めていきます。
- 業務形態の選定
- 事業計画の作成
- 事務所の設置と会社の設立
- 宅地建物取引士の設置
- 宅地建物取引業免許の申請
- 保証協会への加入
- 開業
まずは株式会社などの業務形態を決め、事業計画を作り、開業前の準備をしていきましょう。次に、不動産会社を運営するための事務所や宅地建物取引士の設置が求められます。個人で開業する場合、代表者が宅地建物取引士の資格を取得する必要があります。
詳しい開業の流れは次の記事でも解説していますので、参考にしてください。
【関連記事】
不動産会社を経営するには?開業までの流れを解説!補助金・助成金の情報も
個人で不動産会社を始める際の基本
不動産会社の経営は、一般的な法人の経営と異なる部分があります。そこでここからは、個人で不動産会社を始める際に知っておきたい基本となる要素を6つ紹介します。
- 業態を選ぶ
- 経営方針に適したエリアで開業する
- 事業計画を立てる
- 人脈を築く
- 営業力やコミュニケーションスキルを高める
- 資格を取得する
それぞれ具体的に解説します。
業態を選ぶ
不動産会社の業態にはさまざまな種類があります。主な業態の種類と特徴は以下のとおりです。
開発会社(デベロッパー) | ・街づくりなどを目的に不動産の開発を手がける ・マンションやオフィスビルの開発、大規模宅地の造成を行う ・用地確保から企画、施工管理、販売までの一連の作業を担う |
販売代理会社 | ・物件の販売を代行する ・売主に代わって不動産売買の窓口となる ・購入希望者との売買契約締結を目指す |
仲介会社 | ・売買 ・賃貸物件の契約を仲介する ・物件の査定・調査、広告宣伝 ・物件案内、契約書作成・決済対応などの業務を行う ・売主と買主間の条件調整を行い、スムーズな契約を目指す |
管理会社 | ・マンション経営での賃貸管理を担う ・共用部の清掃・保守、老朽化対策や家賃 ・契約管理、入居者のクレーム対応などの業務がある |
自分の得意な分野や興味、市場の需要などを考慮して業態を選択しましょう。
経営方針に適したエリアで開業する
自社の経営方針に適したエリアで開業しましょう。不動産市場は地域によって異なるため、賃貸が盛んなエリア、商業施設が発展しているエリアなど、業態に適した地域を選ぶのが基本です。
また、市場の動向や地域の情報を収集しておくことも重要です。次のようなことを、開業前にリサーチしましょう。
- 人口の増加率
- 商業施設の開業予定
- 近隣企業の撤退予定
- 街の特性
地域情報やターゲット層を明確にしたうえで、事業展開に適したエリアで開業しましょう。
事業計画を立てる
事業計画とは、市場分析や財務計画、マーケティング戦略、リスク管理などを含めた開業するために必要な計画書です。
主に次のような点を明確にします。
- 市場分析
- 財務計画
- マーケティング戦略
- リスク管理 など
事業計画書は金融機関からの融資を受ける際に必要になるほか、長期的に事業を展開していくためのロードマップになります。不動産経営の全体像として、具体的な計画を作成しましょう。
人脈を築く
個人で不動産会社の経営を成功させるポイントの一つは人脈作りです。地主や金融機関、建築業者、法律家など、さまざまな人脈を築いてビジネスチャンスを広げましょう。
人脈を作ると、顧客獲得や物件売買の依頼など、紹介によって仕事を獲得できるケースが増えます。また、地域のコミュニティで信頼関係を築けば、市場に出回っていない物件や再開発などの重要情報やニーズを知れるでしょう。
営業力やコミュニケーションスキルを高める
不動産経営では、営業力やコミュニケーションスキルの高さが求められます。商品を販売するためには、営業やコミュニケーションを通して顧客のニーズを理解しなければなりません。とくに不動産取引は高額な商品がほとんどであるため、顧客との信頼関係がなければ成約につながりにくいでしょう。
営業力やコミュニケーション能力を養うには、地道な営業活動を通じて経験を積むことが重要です。商談や電話でのフォローなど、実際に顧客と接する機会を多く持つことで対人スキルが鍛えられます。また、研修やセミナーに参加したり、成功している営業マンから話を聞いたりすることも大切です。
資格を取得する
不動産会社の経営には、資格の取得も求められます。とくに、宅地建物取引士の資格は、不動産取引業務を開業する際に、従業員5名につき1名以上必要となります。
また、それ以外にも不動産経営に役立つ資格はいくつかり、とくにおすすめの資格は以下のとおりです。
- 賃貸不動産経営管理士
- マンション管理士
- ファイナンシャルプランナー(FP)
- 不動産実務検定
- 住宅診断士(ホームインスペクター)
宅地建物取引士の資格はもちろん、その他の資格に関しても積極的に取得しておくと、専門的な知識が身につき、不動産会社経営に役立てられます。また、資格を持っていれば権威性が向上し、顧客からの信頼度も高まるでしょう。
【関連記事】
不動産経営に役立つ資格一覧!求められるスキルや成功において重要な要素も紹介
個人で不動産会社を成功させるポイント
基本を押さえた後は、「どうすれば成功するのか」を考えましょう。ここでは、個人で不動産会社を成功させるポイントを3つご紹介します。
- コストを下げられないか検討する
- ターゲットに合ったマーケティングを実践する
- 業務を効率化するシステムを導入する
具体的に解説します。
コストを下げられないか検討する
個人で不動産業を開業するなら、コストの削減が重要です。コストを下げることによって利益率を高められ、業務効率化に役立つ不動産管理システムやアウトソーシングなどを利用しやすくなるため、さらなる効率経営を実現できるでしょう。
コストの削減方法には、自宅を事務所にしたり従来の広告手法に代わってデジタルマーケティングに重点を置いたりすることなどがあげられます。ただし、自宅を事務所にすることには次のような条件があるため注意しましょう。
- 玄関から他の部屋を通らず事務所へ行ける
- 生活部分と事務所が壁などで明確に分かれている
- 事務所としてのみ使用している
- 集合住宅の場合は事務所としての使用を認められている
※参考:事務所の開設 | 公益社団法人 神奈川県宅地建物取引業協会
また、宅建協会の加入もおすすめです。宅建協会に弁済業務保証金分担金60万円を支払えば、本来必要である営業保証金1,000万円が免除されます。
ターゲットに合ったマーケティングを実践する
個人で不動産業を成功させるには、ターゲットに合ったマーケティング戦略を展開することが重要です。近年は、インターネットやSNSの普及により、さまざまなニーズを持った顧客が増えています。
たとえば、若い世代がターゲットであれば、SNSを通じたアプローチが役立ちます。InstagramやX、YouTube、TikTokなどを活用することで若年層の興味を引けるでしょう。
一方で、高齢者をターゲットにする場合は、地元の新聞広告やチラシなど直接的なコミュニケーションが効果的です。自社のターゲットを見定めたうえで戦略を練っていきましょう。
業務を効率化するシステムを導入する
不動産会社を個人で経営するには、一元管理システムの導入がおすすめです。事務作業を手作業で行う場合、Excelで物件管理を行ったりWordで契約書を作成したりするイメージとなりますが、重要なデータファイルに誤って上書き保存したり削除したりするリスクがあります。
しかし、一元管理システムを導入すれば、不動産管理に活用するデータを一元化して保護でき、事務作業などを効率化できるでしょう。たとえば、『いい生活のクラウドSaaS』の場合、売買仲介と賃貸仲介のあらゆる事務作業に対応しています。
『いい生活のクラウドSaaS』の売買仲介業務支援サービス
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提供サービス | 解決できる売買仲介管理業務のお悩み |
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いい生活売買クラウド 営業支援 | ・営業活動・追客をさらに効率化したい ・LINEやチャットで効率的に追客したい |
不動産会社向けホームページ作成ツール『いい生活ウェブサイト』 | 集客に強いホームページを作成・運営したい |
電子契約 | 電子契約で印紙代などのコストを削減したい |
ビデオトーク | Web内見やIT重説(Web会議システム)を導入したい |
事務作業や書類作成の効率化を目指したい場合、『いい生活売買クラウド One』が役立ちます。売却査定や販売、広告、顧客情報の管理、売買契約、成績管理など、あらゆる仲介業務をデジタル化できます。
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いい生活賃貸クラウド One | 物件チラシや契約書を簡単に作成・出力したい |
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『いい生活のクラウドSaaS』には、賃貸管理業務を支援するシステムもあります。賃貸管理業務を支援するサービスは以下のとおりです。
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個人で不動産会社を経営するなら『いい生活のクラウドSaaS』
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