経営者にとって不動産投資は、節税や相続税対策につながります。しかし、不動産投資にはリスクも伴うため、注意点を理解し、慎重に検討する必要があるでしょう。
そこで今回は、経営者に不動産投資をおすすめする5つの理由について、不動産投資を成功に導くポイントや注意点とともに解説します。さらに、不動産管理を効率的に行う際に役立つ一元管理システムについてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
経営者に不動産投資をおすすめする理由
経営者に不動産投資をおすすめする理由として、以下の5つがあげられます。
- リスクヘッジになる
- 福利厚生の一環で社宅として活用できる
- 引退後の収入源になる
- 不労所得にできる可能性がある
- 節税や相続税対策につながる
それぞれ解説します。
リスクヘッジになる
不動産投資をおすすめする理由は、本業のリスクヘッジになることです。会社経営が今は順調であっても、さまざまな原因で不安定になる場合もあります。
そんなときに不動産投資という収入の柱があれば、キャッシュフローが安定し、事業の継続に役立つでしょう。本業が不振になった場合でも不動産投資が順調であれば、金銭的リスクを回避できます。
資金繰りで頭を悩ませることも少なくなるため、よりいっそう本業に力を入れられるでしょう。
福利厚生の一環で社宅として活用できる
従業員が賃貸住まいの場合、住宅手当を支給している企業も多いでしょう。住宅手当は給与所得に含まれ課税対象となることから、所得税や社会保険料などの税額が上がる可能性があります。
法人名義の不動産を社宅にすれば、税額が上がることを防ぎ、会社としては福利厚生の一環として活用することが可能です。
引退後の収入源になる
経営者を引退した後の収入源になることも、不動産投資をおすすめする理由です。引退後も役員として会社に在籍し収入を得るケースもありますが、必ずしも収入が保証されるとは限りません。
また、経営する会社の収入源として不動産投資の収入を活用すると後継者の助けとなります。事業承継後に会社が業績不振になる場合に備えて、不動産投資で長期にわたって一定の収益を生み出す流れを用意しておくと、ご自身が引退した後の会社経営に安心感が持てます。
不労所得にできる可能性がある
不動産投資は、不動産の管理を管理会社に委託すれば、自分で管理する必要がなく不労所得にできる可能性があります。経営者は本業に全力投球しながら、不動産からの収入を得られるでしょう。
不労所得を手に入れるためには、信頼できる管理会社の選定が重要です。ある程度の利回りが望める物件で、安定した管理が期待できる管理会社に依頼できた場合は、不労所得にできる可能性が高くなるでしょう。
ただし、管理会社に委託する場合は委託手数料が発生する点に注意が必要です。
節税や相続税対策につながる
不動産の損益通算を活用すれば、税金の負担を軽くできる可能性があります。不動産所得の損益通算とは、不動産所得で赤字がある場合にほかの黒字の所得で相殺することです。不動産投資では、減価償却費が発生するため、不動産所得が赤字となりほかの所得と通算することで所得税の節税になるケースがあります。
また、不動産投資は相続税対策にも有効です。不動産は土地と建物に分けられ、それぞれ相続財産の評価額にもとづいて相続税が算出されます。相続財産の価値を算出する際には相続税評価額を用いますが、不動産の評価額は時価よりも下回る傾向にあり、相続税を抑えられるケースがあります。
経営者が不動産投資するリスク
不動産投資には、メリットだけでなくリスクもあります。経営者が不動産投資を行う際に想定しておくべきリスクは次のものがあります。
- 損失が出てしまう可能性がある
- 本業の資金調達に影響を及ぼすこともある
それぞれ解説します。
損失が出てしまう可能性がある
不動産投資では、市場の下落、地域の経済状況の悪化、物件の価値の減少など、さまざまな要因により投資した不動産の価値が下がる可能性があります。売却するときに思うような価格で売れないこともあるため、購入する物件は慎重に検討する必要があるでしょう。
また、空室率が上がった場合、予想した利益を得られない可能性もあります。入居者がいてもいなくてもメンテナンスコストはかかるため、長期にわたる空室状態では損失が出ることもあるでしょう。
本業の資金調達に影響を及ぼすこともある
不動産投資ローンを利用して投資を行う場合、本業の資金調達に影響を与える可能性があります。不動産投資の借入額が大きくなると、本業で資金調達する際に銀行の融資審査で影響を及ぼす可能性があるためです。
不動産投資が赤字の場合、節税にはつながりますが、融資においてはマイナスの要因になりかねません。賃貸業がうまくいっていないとみなされるため、空室が原因で収入が減少し赤字になっている場合などでは資金調達の際に注意が必要です。
経営者が不動産投資する際のポイント
経営者が不動産投資する際には、以下のポイントに注意する必要があります。
- 始めるタイミングを見極める
- 不動産の所有者を検討する
- 不動産会社を見極める
- 金融機関を選定する
- 管理方法を考える
それぞれ解説します。
始めるタイミングを見極める
不動産投資は長い時間をかけて取り組むことが前提になるため、始められる環境が整っているのであればできるだけ早く始めることが大切です。
株式会社MFSの調査によると、不動産投資家の平均年齢は43歳となっています。最も多い年齢層は30代後半から50代前半で、全体の63%ほどを占めています。
出典:PR TIMES|約2,000名の不動産投資家と5,000物件を徹底調査!令和の不動産投資家の実態は?どうすれば利回りアップできる?
経営者を引退するまでの時間は限られているため、老後を見据えた資産形成をすることが大切です。業績が好調であれば、早めに始めましょう。
不動産の所有者を検討する
経営者が不動産投資を始める場合は、所有者の名義を検討する必要があります。所有者の名義には、次のような選択肢があります。
- 経営者本人が個人で所有する
- 経営者が代表を務めている法人が所有する
- 不動産投資のために法人を設立する
まず、法人で購入するのではなく、経営者が個人名義で所有する方法です。会社とは切り離されているため、あくまで個人で資産運用するかたちになります。会社と関係がないため、すべての収益を経営者個人が手に入れられるのがメリットです。
また、経営者が代表を務めている法人名義で不動産を購入する方法もあります。本業のリスクヘッジになったり、福利厚生の一環として活用したりできます。
または、不動産投資のための新法人を設立することも選択肢のひとつです。個人所得が高い経営者の場合は、大きな節税になります。給与だけで課税所得が900万円を超える経営者は、不動産投資のために法人を設立することを検討してみましょう。
不動産会社を見極める
不動産の購入には、一般的に収益物件を専門的に扱う不動産会社を利用します。そのような不動産会社は、物件の選定や収支のシミュレーションなどの面で経営者の不動産投資をサポートしてくれます。
不動産業を本業にするわけではないため、不動産投資に精通したパートナーの選定は重要です。信頼できる不動産投資会社を見つけられるかが、不動産投資の成功の鍵といえるでしょう。
金融機関を選定する
不動産投資はローンを利用することにより、レバレッジ効果を得られます。レバレッジ効果とは、少ない資金で大きなリターンが期待できることです。条件のよい金融機関を選定できれば、さらにレバレッジ効果は高まるでしょう。
本業で取引のある金融機関との信頼関係が築けていれば第一候補となりますが、不動産投資に積極的な金融機関である必要があります。不動産投資に消極的である場合、金利が高かったり、融資自体してもらえなかったりする可能性もあるでしょう。
一般的に、融資の審査には直近3期分の決算資料の提出が必要となる場合が多いです。直近3年間の業績が好調のときは、不動産投資のチャンスといえるでしょう。
管理方法を考える
不動産の管理方法は、主に以下の2種類あります。
- 自主管理
- 委託管理
自主管理とは、オーナー自らが物件を管理することで、委託管理とは、不動産管理会社に委託することです。
管理業務は共用部分やエントランスの清掃、建物や設備の維持管理、入居者からの問い合わせや苦情などの対応、家賃の回収などがあげられます。
多忙である経営者が行う不動産投資では、物件の管理業務は管理会社に委託するのが一般的です。管理会社への委託について、詳しくは次の記事を参考にしてください。
【関連記事】
「管理会社」と「仲介会社」の違いとは?それぞれの業務を詳しく解説
経営者が不動産投資を始める際の注意点
経営者が不動産投資を始めるときに気をつけたい注意点があります。本業とともに不動産投資を成功させていくために、注意点をしっかりと理解しておきましょう。ここでは、次の注意点について解説します。
- 審査に通りにくい
- 長期的な目線が必要になる
審査に通りにくい
一般的に給与所得者と比べて、会社経営者は金融機関での審査が通りにくい傾向にあります。給与所得者とは、公務員や会社員など給料をもらう人のことです。会社経営者は給料ではなく役員報酬を得ているため、給与所得者とみなさないのが一般的です。
金融機関の審査では、安定した収入を重要視します。したがって、報酬が会社の業績に左右される経営者は、たとえ平均より収入が高くても不安定とみなされてしまう可能性があるでしょう。
長期的な目線が必要になる
資産運用を考えるとき、購入から相続発生までの長期的な目線が必要になります。不動産は分割しにくいため、公平に遺産を分けられず、相続でトラブルの原因となる可能性があります。相続人が複数いる場合は相続で揉めないように、不動産を複数所有するなどして対策をとっておく必要があるでしょう。
また、資産の大部分を不動産にする場合は注意が必要です。相続税の納付は、基本的に現金による一括納付が求められます。すぐに現金化できる資産がない場合、相続税の支払いに困難が生じる可能性があるため、慎重に考慮する必要があります。
不動産を自主管理するなら一元管理システムがおすすめ
比較的時間の余裕がある場合や不動産管理に対して人員を割り当てられる場合は、所有する不動産の管理を管理会社に委託せず、自主管理すると経費を削減できます。
不動産を自主管理する場合は、一元管理システムを活用すると効率的に管理できます。一元管理システムをおすすめする理由は次のとおりです。
- 煩雑な賃貸管理業務を効率化できる
- スムーズに情報を共有できる
- ミスを防げる
- 機能の拡張やアップデートができる
- 入居者・管理担当者両方の満足度が上がる
それぞれ解説します。
煩雑な賃貸管理業務を効率化できる
一元管理システムを導入すると、データを一元管理し業務をオンライン化できるため、さまざまな業務を効率化できます。
効率化できる主な業務は次のとおりです。
- 入居時の書類作成
- 家賃などの入出金管理
- 賃貸の更新手続き
- 収支報告書の作成
- 契約獲得率向上のための取り組み
- 賃貸管理に関連する知識の属人化やトラブルの防止
システムに登録したデータをもとに、契約情報の検索、契約書類の自動作成、請求書の自動作成などが可能になります。これらの業務を効率化することで、手間なく不動産を自主管理できるでしょう。
スムーズに情報を共有できる
保有する不動産情報をデータ化して一元管理し、不動産の状況や問い合わせ内容などをリアルタイムで共有できます。たとえば、紙やExcelの場合、情報を共有するためには印刷したりメールで送ったりしなければなりません。担当者が不在だった場合、情報の確認に1日以上かかることもあるでしょう。
一元管理システムならすべての情報をデータで管理できます。検索ができて素早く情報にアクセスできる上にほかの担当者でもすぐに情報を確認することが可能です。
ミスを防げる
人の手で作業を行うと、どうしてもヒューマンエラーが起こります。入力ミスや確認漏れ、請求忘れといったリスクを抱えることになるでしょう。紙やExcelの場合、書き間違えや紛失、データの消失などが発生するケースがあります。
一元管理システムを導入すれば、登録したデータの情報から契約書や請求書などを自動で入力できる項目もあるため、書き間違えなどのミスを防止できます。
機能の拡張やアップデートができる
一元管理システムは、自社の業務に合わせて必要な機能を拡張し、業務の効率化や精度をさらに向上させることが可能です。
不動産についての法令は頻繁に改正が行われます。しかし一元管理システムは、システムの提供会社が定期的にアップデートを行うため、法令の改正や税率の変動があった場合でも迅速に対応できます。法改正に対応できていないまま顧客と契約を交わすと、トラブルやクレームにつながる可能性もあるので、システムによって法令の遵守をサポートしてもらえると安心です。
入居者・管理担当者両方の満足度が上がる
一元管理システムを導入すると、過去のクレームや問い合わせ内容を社内で共有できるため、入居者からクレームが来ても素早く対応できる可能性が高まります。スピーディーな対応や要望への返答があると、入居者からの信頼につながるでしょう。
さらに、業務効率化が進むと総労働量を抑えることができ、管理担当者の満足度向上にも役立ちます。残業代の削減にもつながるため、キャッシュフローの安定にも寄与します。
経営者こそ不動産投資がおすすめ
経営者にとって、不動産投資はさまざまなメリットがあることをご紹介しました。本業以外の収入の柱を作ることができるだけでなく、業績が悪化した際のリスクヘッジにもなるでしょう。ただし、想定外の損失が出て本業への影響が発生する恐れもあるため、投資を始める時期や不動産の管理方法をよく検討した上で取り組むのがおすすめです。
投資用に購入した不動産の管理方法には「自主管理」「不動産管理会社へ委託して管理」の2つがあります。自主管理を行う場合、一元管理システムがあると管理業務の効率化に役立ちます。そんな一元管理システムでぜひ導入を検討していただきたいのが『いい生活のクラウドSaaS』です。
『いい生活のクラウドSaaS』はクラウド型のシステムであるため、初期費用を抑えて導入できます。コストを抑えて不動産投資における不動産の自主管理をしたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。