借地借家法とは?基本や2022年5月の改正ポイントなどについて解説

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借地借家法とは?基本や2022年5月の改正ポイントなどについて解説

「借地借家法」は建物を所有する目的で土地または建物を借りる際に適用される法律で、物件を貸す側と借りる側の権利や義務について定められています。 

今回は、借地借家法について、不動産事業者が知っておきたい基本事項から、2022年5月に行われた改正のポイント、さらに借地権付き不動産のメリット・デメリットなどについてご紹介します。借地借家法について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

借地借家法とは?

借地借家法とは?

借地借家法とは、元々は別の法律だった借地法と借家法をまとめ、1992年に施行された法律です。同法は、建物の所有を目的に土地を借りるケース、もしくは建物を借りるケースに適用されます。 

本来、物の貸借に関しては民法で規定されています。民法の場合、賃貸借契約の内容を自由に規定できるため、地主側が優位に立ってしまうことが多くなっていました。「借りていた建物から突如立ち退きを迫られた」など、地主によって借主の暮らしが脅かされてしまうこともあり、借地借家法が制定されるに至ったわけです。 

借地借家法は、弱い立場にある借地人を保護するために制定された法律です。なお、土地や建物を借りる際、民法に同様の項目がある場合は借地借家法が優先して適用されます。

2022年5月の借地借家法の改正で変わったこと

2022年5月の借地借家法の改正で変わったこと

借地借家法は、社会情勢や賃貸借契約の実情に応じてこれまでにも改正が行われてきました。2022年5月の改正には、デジタル改革関連法に基づいた「契約のデジタル化」に関する内容が散見されます。ここでは、法改正で変わった事項についてご紹介します。 

電磁的記録での契約が一部可能に 

電磁的記録とは、締結済みの契約書をデータ化したものを指します。すべての契約で電子契約が認められているわけではありませんが、2022年5月の改正によって土地建物における賃貸借契約の一部契約に関しては電磁的記録で行えるようになりました。 

法改正で電子契約が可能になったのは、「定期借地権の特約」と「定期建物賃貸借の事前説明書面交付や契約」です。これまでは書面の作成が必要でしたが、電子契約によって手続きが簡素化されました。 

電子契約が実現「① 定期借地権の特約」

定期借地権とは、契約期間が定められた借地権のことです。従前は、一般定期借地権の特約に関しては書面で行うものとされていました。しかし、2022年の法改正によって、一般定期借地権の特約に関しても電磁的記録が可能になりました。一般定期借地権の特約とは、借地権の存続期間が50年以上の場合に、法定更新や建物買取請求権などの制度適用を排除できるというものです。また、被災地借地借家法における被災地短期借地権の設定に関しても、電磁的記録が可能になっています。

なお、これらは居住用建物に該当するものであり、事業用建物の定期借地権に関しては従来と同様に書面での契約締結が必要です。 

電子契約が実現「② 定期建物賃貸借の事前説明書面交付や契約 」

定期建物賃貸借は、事前に建物を賃借する期間を設定し、賃借期間終了後に更新がない契約です。

更新の有無は賃借人にとって重要な内容であることから、これまでは事前に契約の更新がない旨を記した書面を交付・説明し、さらに書面で契約することが求められていました。しかし、2022年の改正で事前説明や書面の交付を電磁的方法(電子メールなど)で提供できるようになり、電磁的記録による契約でも書面契約と同様に適用されるようになったのです。 

なお、電磁的方法で提供する場合は賃借人から承諾を得る必要がありますので注意が必要です。 

借地借家法の理解を深めるために知っておきたい「借地権」

借地借家法の理解を深めるために知っておきたい「借地権」

借地借家法について深く知るためには、「借地権」を理解しておく必要があります。借地権とは、建物の所有を目的に地主から土地を借りる権利を指します。1992年に制定された借地借家法において、契約期間が定められている借地権や存続期間がない借地権が定められました。 

ここでは、それぞれの借地権について詳しく解説していきます。 

普通借地権

普通借地権とは、権利が続く期間(存続期間)は定められているものの、建物が存在する限りは更新され続ける借地権です。存続期間は、契約時が30年以上、契約更新の1回目が20年以上で、2回目以降は10年以上と規定されています。旧借地法では、非堅固建物(木造など)と堅固建物(鉄骨造・鉄筋コンクリート造など)で存続期間が異なっていましたが、現行法では構造による違いは設けられていません。 

普通借地権の場合、賃貸借契約の期限が来た場合でも、地主側に更新を拒否する正当な事由がなければ、借地人が望む限り契約は更新されます。また、契約を終了するときに借地人が建てた建物がそのまま残っている場合は、地主に建物の買い取りを請求(建物買取請求権)することも可能です。 

一般定期借地権

一般定期借地権は、存続期間を50年以上とし、契約を更新できない借地権です。「建物の再築による期間延長を行わない」「期間満了による建物の買取請求ができない」ことなどが特徴となります。 なお、賃借する土地の利用目的に制限はありません。

借地人には買取請求権がないため、契約が満了した場合は、借地を更地にしてから地主に返すことが原則です。定期借地権付きマンションでは、主に一般定期借地権が適用されています。 

建物譲渡特約付借地権

建物譲渡特約付借地権は、存続期間を30年以上とする定期借地権です。一般定期借地権と同様に、土地の利用目的は制限されていません。

その一方で、契約期間が終了した段階で原則借地を更地にする必要がある一般定期借地権とは異なり、更地にする必要がありません。地主は現状のまま譲り受ければ、土地と建物の所有権を取得することも可能です。

建物譲渡特約付借地権は、賃貸借契約書を作成して設定することも可能ですし、口頭で契約することも可能です。なお、建物譲渡特約は、借地契約を締結するタイミングで特約を結びます。あとで特約をつけようとしても認められないので注意が必要です。 

事業用定期借地権 

事業用定期借地権とは、事業用の建物を所有することを目的に、存続期間が10年以上50年未満に設定されている借地権です。一般定期借地権や建物譲渡特約付借地権とは異なり、事業用の建物のみに適用されます。 

建物の一部であっても居住用として利用している部分がある場合は、事業用定期借地権は認められません。例えば、介護施設は事業用施設に該当しますが、高齢者の居住用施設でもあるため、事業用定期借地権の対象外となります。 

契約期間が終了した際には更地にした状態で土地を返す必要があります。また、上でも触れましたが、事業用定期借地権では電子契約は認められていません。 

借地権付き不動産のメリット

借地権付き不動産のメリット

借地権付きの不動産を借りる場合、借地人にとってどのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、借地権付き不動産ならではのメリットをご紹介します。 

土地の固定資産税や都市計画税の支払いが不要 

土地と建物を保有する場合、固定資産税や都市計画税を納める必要があります。固定資産税は固定資産(土地や家屋または償却資産)の所有者に対して、固定資産の価格を元に算定した税額が課されます。都市計画税は目的税として課税されるもので、固定資産課税台帳に登録者に課される税金です。 

借地権付き不動産の場合、借地人は土地を地主から借りている状態であり、土地の所有者は地主です。そのため、土地分の固定資産税や都市計画税は地主が納めることになります。建物の固定資産税や都市計画税は借地人が納めなくてはならないものの、自身で土地と建物を所有するよりも税負担を軽減できるでしょう。 

土地を購入するよりも安い

土地を購入するよりも、借地権付き不動産の方が割安というケースが一般的です。とくに居住できる期間が決まっている定期借地権がついている場合、相場よりも2~3割程度安くなっているケースもあります。都心や駅近など、地価が高い人気のエリアでなるべく安く購入したい場合に適しているといえるでしょう。 

借地権が法的に保護される

借地権は借地借家法によって保護されている権利です。定期借地権のように期限が定められている場合を除き、地主の都合によって借地人に立ち退きを要求する際は正当な事由が必要となります。 

また、正当な事由があったとしても簡単に認められることはありません。地主側の都合で立ち退きを行う場合、立ち退き料を支払うのが通例です。了承は得たものの、引越し先がなかなか決まらず退去できない場合には、地主が代わりに引越し先を探す場合もあります。 

長期的な土地活用が可能

定期借地権には存続期間が設けられているため、契約期間の終了後は土地を地主に返還する必要があります。しかし、普通借地権であれば契約更新することで長期間土地を借り続けることが可能です。借地権は法的に保護されていますので、建物が長期間使用されていない、地代を請求しているのに支払いがストップしているなどの正当な事由がない限り、立ち退きを命じるのも難しいことが一般的です。 

そのため、借地人は半永久的に土地を活用することも可能であり、土地と建物の所有権を取得した場合と大差なく活用できます。 

借地権付き不動産のデメリット

借地権付き不動産のデメリット

借地権付き不動産はメリットがある一方で、デメリットもあります。デメリットの内容についても確認しておきましょう。 

金融機関からの融資を受けにくい

借地権付き不動産を担保に融資を受けることもできますが、所有している土地を担保にする場合と比べると難しいことが一般的です。 

その理由は、金融機関から担保を受ける上で重要なのは抵当権の設定だからです。金融機関は、返済が滞った場合に抵当権を行使し、不動産を差し押さえて債権を回収します。

しかし、借地権付き不動産の場合は、抵当が借地上の建物のみに設定される場合がほとんどです。例えば、借地契約を解除するといったことが生じたケースで考えてみましょう。建物譲渡特約がついていない限り、土地を更地にして地主に返還する必要が生じます。その場合、抵当権を設定していた建物は消え、金融機関は資金回収ができなくなってしまいます。 

こういったリスクを回避するため、金融機関は借地権付き不動産を抵当に融資することを避ける傾向があります。 

土地利用の自由度が低い

借地権付き不動産では、地主から許可を得ずに建物を自由に売却できません。また、増改築・建て替えなどを行う場合も地主の承諾が必要です。場合によっては承諾料を求められることもあります。 

借地上の建物は借地人が所有権を持っているものの、建物の売却や増改築・建て替えなどの自由度が低い点はデメリットといえるでしょう。 

地代の支払いが発生する

借地権付き不動産を借りている以上、地主に対して地代を支払う必要があります。場合によっては地代に加えて住宅ローンの支払いも発生するため、負担は大きくなりがちです。土地の価格が高騰すれば、地代の引き上げによる負担増のリスクも考えておく必要があります。 

更新料が発生する場合がある

法律では規定されていないものの、普通借地権を更新する際には更新料の支払いを求められる場合もあります。更新料の支払いが必要なケースは以下のとおりです。

  • 契約書に更新料の支払いについて明記されている
  • 地主と借地人の間で更新料の支払いに関して合意がなされている

更新料は地主の設定によって異なりますが、相場は借地権価格の約5%程度です。契約書に明記されているにもかかわらず、支払いを拒否してしまうと延滞料金の請求や契約解除になってしまう可能性もあるため、注意が必要です。過去に更新料を支払っている場合、地主との良好な関係を維持したい場合など、状況に応じて判断する必要があります。 

借地上の建物を賃貸物件にする際の注意点

借地上の建物を賃貸物件にする際の注意点

借地上の建物を賃貸物件にして第三者に貸し出したい場合、注意すべきポイントがあります。ここでは、借地上の建物を賃貸物件にする際の注意点について解説します。 

土地や建物の所有者を確認する

まずは、土地や建物の所有者を登記事項証明書で確認する必要があります。古くから借地になっている建物は、名義変更がなされていない可能性があります。例えば、土地賃貸借契約に記載されている借地人と現在の建物の登記名義人が一致していなかった場合は、所有権の移転が適切に行われているかどうかを確認することが必要です。不明な場合は、司法書士などに調査を依頼することをおすすめします。 

登記事項証明書は法務局で誰でも取得できますので、必ず確認するようにしましょう。 

建物の賃貸を禁止する特約がないかを確認する

借地上の建物であっても、借地人は第三者に対して自由に建物を貸し出すことが可能です。土地の所有者(地主)は、第三者に貸し出していることを理由にして契約を解除することは基本的にできません。 

しかし、借地契約において建物の賃貸を禁止する特約や、事前に地主へ承諾を得る必要があるという特約が結ばれているケースもあります。こうした特約がある場合は、地主から承諾を得る、または借地契約を変更して賃貸禁止特約を外してもらうなどの対応が必要です。 

不動産業を営むなら借地借家法について把握しておこう

不動産業を営むなら借地借家法について把握しておこう

今回は、借地借家法の概要や2022年に行われた改正のポイント、借地権付き不動産のメリット・デメリットなどをご紹介しました。不動産業を営む中で、権利関係の問題に触れる機会は多いです。地主と借地人の間で借地権に関するトラブルを抱えているといったケースもあるでしょう。 

こうしたトラブルを解決していくためにも、法律について正しく理解しておく必要があります。今回ご紹介してきた内容を参考に、借地借家法の基本を把握して業務に活かしてみてください。

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