連帯保証人とは?保証会社との違いや民法改正による変更点についても解説

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連帯保証人とは?保証会社との違いや民法改正による変更点についても解説

賃貸借契約を結ぶ場合、連帯保証人が求められます。場合によっては連帯保証人と保証会社の両方を求められるケースもあるでしょう。その場合、連帯保証人と保証会社では具体的にどのような違いがあるのでしょうか? 

今回は、賃貸借契約を結ぶ際に必要な「連帯保証人」について解説します。保証会社との違いや、民法改正による変更点なども解説しているので、連帯保証人について理解したい方はぜひ参考にしてみてください。 

連帯保証人とは? 

連帯保証人とは?

連帯保証人とは、債務を連帯で保証する立場の人のことです。住宅ローンの借り入れや借金の返済、賃貸借契約の締結時など、なんらかの理由で契約者が債務を履行できなくなった場合に、連帯保証人が債務者に代わって返済義務を負うことになります。なお、連帯保証人の債務履行が難しい場合は、連帯保証人の資産が差し押さえられる可能性もあります。

連帯保証人になれる人・なれない人 

連帯保証人になれる人・なれない人 

連帯保証人は契約者と同じレベルの責任が伴うことから、債務に対する返済能力を持っている必要があります。具体的にどのような人が連帯保証人になることができ、逆にどういった人が連帯保証人にはなれないかを解説します。 

連帯保証人になれる人

連帯保証人になれる人の条件は以下のとおりです。

  • 2親等以内の親族
  • 安定した収入がある
  • 高齢ではない電話やメールなどで連絡が取れる
  • 日本国内に在住している
  • 連帯保証人の承諾を得ている

親族に連帯保証人をお願いする場合は、基本的に2親等(両親や子ども、兄弟姉妹、祖父母、孫)以内となります。3親等(叔父叔母、曾祖父、ひ孫、甥姪)も連帯保証人にはなれますが、金融機関などから断られる可能性が高まります。 

安定収入については一概にはいえませんが、自営業などは収入が不安定になりやすいため、連帯保証人として認められない場合があります。賃貸の連帯保証人の場合は、家賃の36倍以上の年収を目安にしている場合が多いようです。 

また、連帯保証人になる承諾を得ていないと、虚偽の情報となってしまい審査にも通らなくなりますので注意が必要です。 

連帯保証人になれない人

連帯保証人になれない人は以下に該当する人です。

  • 無職
  • 年金で生活している
  • 配偶者または同居人
  • 友人
  • 恋人
  • クレジットカードなどの支払いを滞納したことがある
  • 海外に住んでいる
  • 反社会的勢力の関係者

収入がない無職の人や、契約者と生計が一緒とみなされる配偶者または同居人は、連帯保証人になることができません。単身赴任などで別居している場合は例外として認められる場合もあります。 

友人や恋人は親族ではないため、連帯保証人として認められないことが通例です。なお、クレジットカードなどの支払いを滞納していた場合、信用情報に傷がついている状態にあるため連帯保証人になれない可能性が高くなります。 

連帯保証人の役割とは?保証会社との違い

連帯保証人の役割とは?保証会社との違い

連帯保証人と保証会社では役割が異なり、賃貸借契約の際には両方が必要となるケースもあります。ここでは連帯保証人と保証会社、それぞれの役割について解説します。 

連帯保証人の役割

連帯保証人は、契約者と連帯して返済を保証します。そのため、契約者が家賃を滞納してしまった場合は、連帯保証人にも支払義務が生じます。貸主から支払いを請求された場合、連帯保証人は迅速に対応しなければなりません。 

また、契約者が近隣住民とトラブルを起こしたり、過失によって損害賠償が発生したりした場合にも貸主は連帯保証人に対して費用を請求できます。騒音やゴミの出し方などに関するトラブルにおいても、契約者と同等の責任を負うことになります。 

保証会社の役割

保証会社は、契約者が家賃や更新料を滞納した際に、契約者に代わって貸主への支払いを行います。契約者は後日、保証会社に対して立て替えてもらった費用を支払わなくてはなりません。保証会社からの支払いの督促に応じないと、契約解除や強制退去、訴訟に発展する可能性があります。 

貸主は、保証会社によって家賃や更新料を回収できなくなるリスクを抑えることができ、契約者は、連帯保証人がいなくても部屋を借りられます。なお、保証会社を利用するためには、契約時点で契約者が保証料を支払っている必要があります。

連帯保証人と保証人は何が違う? 

連帯保証人と保証人は何が違う? 

ここまで連帯保証人と保証会社についてご紹介しましたが、それとは別に「保証人」も存在します。連帯保証人と保証人には大きな違いがありますので、それぞれの違いについてみていきましょう。 

催告の抗弁権の有無

催告の抗弁権とは、債権者が保証人に対して保証債務の履行を請求した際に、保証人は先に主債務者に対して債務の履行を催告するよう主張できる権利です。例えば、債権者から主債務者が300万円の借金をして保証人を立てた場合、支払いが滞ると債権者は保証人に対して返済を請求できます。しかし、このとき保証人は「まずは主債務者に対して借金返済の督促をしてほしい」と主張できるのです。 

催告の抗弁権を利用できるのは保証人であり、連帯保証人ではできません。そのため、連帯保証人は債権者から請求された場合に、主債務者よりも先に返済しなければいけないケースも発生します。 

検索の抗弁権の有無

検索の抗弁権とは、債務者が返済できるだけの資産を持っていた場合に、保証人が債権者に対して保証債務の履行を拒否できる権利です。検索の抗弁権を主張する際には、債務者は返済できるだけの資産を持っていることに加えて、弁済の執行が容易であることを保証人が証明しなくてはなりません。 

なお、検索の抗弁権は保証人にだけ与えられているもので、連帯保証人には与えられていません。そのため、主債務者よりも先に財産を差し押さえられてしまう可能性があります。 

「分別の利益」の有無

分別の利益とは、保証人が複数いた場合に、各保証人が全額の支払義務を負うのではなく、保証人の数で按分した金額分を負担することを指します。例えば、債務者が債権者から100万円を借りていて、保証人が4人いたとします。債権者から保証人に対して返済の請求があった場合、100万円を4人で按分するため、1人あたりの負担は25万円です。 

一方、連帯保証人には分別の利益は認められていません。連帯保証人が4人いたとしても、連帯保証人それぞれが借金の全額について返済する義務が生じます。 

2020年の民法改正で連帯保証人について新しく義務付けられたこと

2020年の民法改正で連帯保証人について新しく義務付けられたこと

 

2020年に行われた民法改正により、賃貸借契約の連帯保証人制度が変更されました。新たに義務付けられた内容もあるため、あらためて確認しておきましょう。 

連帯保証人の負担限度額の設定

2020年4月1日以降に締結した賃貸借契約書には、連帯保証人が負担しなくてはならない限度額(極度額)を設定、明記することが義務付けられています。限度額の記載がない、もしくは不当に高い金額が設定されていた場合、契約書の効力が無効となります。 

2020年の法改正で限度額の設定が義務付けられましたが、限度額の基準などはありません。ただし、毎月の家賃に対して高すぎる場合は連帯保証人が見つかりにくくなるため、入居できる人が少なくなるでしょう。逆に安すぎる場合は大家さんから許可を得られなかったりすることなどが考えられます。 

なお、国土交通省の「極度額に関する参考資料」では、極度額を設定する上での目安となるデータをまとめており、家賃帯ごとの滞納の損害額に関する調査結果として公表されています。 

家賃損害額(平均)
4万円未満17.7万円
4~8万円未満28.2万円
8~12万円未満50.0万円
12~16万円未満71.2万円
16~20万円未満97.3万円
20~30万円未満126.2万円
30~40万円未満156.8万円
40万円以上437.3万円

参考: 国土交通省「極度額に関する参考資料」

オーナーから連帯保証人に対する情報開示

2020年の民法改正では、オーナーから連帯保証人に対する情報開示義務も追加されました。入居者の家賃の支払状況や債務履行状況などについて連帯保証人から問い合わせがあった場合、オーナーは連帯保証人に対して必要な情報を伝える必要があります。これは、連帯保証人が想定外に高額な債務を負ってしまわないようにするためです。 

万が一情報開示義務が果たされておらず、家賃滞納などが生じてしまった場合、連帯保証人に対して弁済請求ができなくなる可能性もあるので注意が必要です。 

借主から連帯保証人に対する情報開示

情報開示は、借主から連帯保証人に対しても義務化されました。連帯保証人から情報開示を求められた場合、借主は自身の収入や貯蓄額、負債がどれくらいあるのかなどを開示する必要があります。 

民法改正前はこのような情報開示義務がなかったため、連帯保証人になるリスクがわかりにくい状況にありました。

情報開示を適切に行い、信頼度を高めることで連帯保証人と借主間のトラブルを未然に防止することにつながります。 

家賃を滞納されたらいつ連帯保証人に連絡する?賃貸オーナーが取るべき対応の流れを紹介

家賃を滞納されたらいつ連帯保証人に連絡する?賃貸オーナーが取るべき対応の流れを紹介

入居者が家賃を滞納した場合、賃貸オーナーはどのように対処していけばよいのでしょうか?とくに、いつ、どのように連帯保証人に催促すればよいのかは気になるところです。ここでは、オーナーが取るべき対応の流れについてご紹介します。 

1.電話で督促する

家賃の滞納から1週間以内に、契約者に電話で督促を行いましょう。

契約者が単に振り込みを忘れてしまった、気付かないうちに残高が不足していたという可能性もあるため、あくまで確認する程度に留めることがポイントです。電話がつながらない場合は、留守番電話にメッセージを残して支払いの期日を伝えます。

ただし、電話がつながらないからという理由で何度もかけたり、早朝や深夜にかけたりするのはマナー違反なので控えるようにしましょう。また、家賃滞納の督促は本人に限定されており、職場や知人に督促の連絡はできません。 電話がつながった場合はいつ支払えるか入居者自身に決めてもらうとよいでしょう。 

2.督促状を送付する

電話が一切つながらない、約束した期日に支払われないといった場合には、督促状を送付します。督促状には建物名と部屋番号、滞納した金額、振込先、支払い期日を記載しましょう。 

1回目の督促状は、意図的な滞納ではない可能性も考慮して、期日などは設けず確認する程度に留めておく方が無難です。1回目の督促状を送付しても返信がない場合は、2回目の督促状から支払い期日を明記します。 

1~2カ月経過しても状況が変わらない場合は、「支払いがない場合、連帯保証人に家賃請求を行う」という旨を記載して督促状を送付します。 

催促業務の効率化については以下の記事でも解説していますので、参考にしてみてください。

3.連帯保証人に連絡する

何度も督促を行っているにもかかわらず、家賃が支払われない場合は連帯保証人に連絡をします。

連帯保証人への連絡が遅くなってしまうと、その分負担する金額も増えてしまうため、督促状を送付してから1~2カ月が経過したタイミングで連絡するのがよいでしょう。なお、連帯保証人に連絡する場合、電話と書面のどちらを使っても問題ありません。ただし、いずれも取り立てるようなニュアンスではなく、丁寧に対応することを心がけましょう。 

4.法的手段の行使

滞納から3カ月以上経過し、連帯保証人からも家賃を回収できない場合は、法的な手段を行使するための準備を進めます。はじめに、賃貸借契約の解除をする旨を記載した催告書を内容証明郵便で送付します。内容証明郵便で送付することで、法的手段を行使するプレッシャーもかけられるため、このタイミングでようやく滞納していた分を解消してもらえる可能性があるでしょう。 

それでも支払いがなかった場合は、支払督促手続や少額訴訟、明け渡し訴訟に移行します。支払督促手続や少額訴訟だと強制執行も可能になりますが、異議申し立てがあった場合は民事訴訟へと移行します。 

明け渡し訴訟では訴訟にかかった費用などを請求できますが、実際には回収できないケースがほとんどです。明け渡し訴訟は最終手段として考え、まずは支払督促手続や少額訴訟を検討するとよいでしょう。 

督促も含めた入居者の管理は『いい生活賃貸管理クラウド』がおすすめ 

督促も含めた入居者の管理は『いい生活賃貸管理クラウド』がおすすめ 

賃貸管理会社の中には、物件管理に加えて家賃滞納の督促業務を担っている企業も多いでしょう。手作業で行っている家賃の入出金管理をシステム化することで業務効率化を図りたい場合には、賃貸管理業務全体を一元管理できるクラウドサービスの導入がおすすめです。 

例えば、クラウドSaaS賃貸管理システム『いい生活賃貸管理クラウド』は、賃貸管理におけるさまざまな業務を一元管理でき、1つのシステム内で業務を完結させることで業務効率や正確性をアップできるクラウド型サービスです。

家賃の入出金管理では、滞納の有無や滞納期間が視覚的に表示されます。未入金一覧で過去分も含めて滞納を確認できるだけでなく、督促状をまとめて出力することも可能です。ほかにも、物件・入居者の情報、契約など、賃貸管理業務を幅広くサポートする機能を搭載しているクラウドSaaS賃貸管理システム『いい生活賃貸管理クラウド』。質の高い賃貸管理サービスに貢献するツールですので、ぜひ導入をご検討ください。

連帯保証人について正しく理解しよう 

連帯保証人について正しく理解しよう 

今回は、連帯保証人についてご紹介しました。賃貸借契約において、連帯保証人は必須の存在です。そのため、賃貸オーナーや不動産賃貸業を営んでいる方にとって、連帯保証人について正しく理解しておくことは欠かせません。とくに連帯保証人に督促する場合は、その手順も含めて慎重に行うことが大切です。

クラウドSaaS賃貸管理システム『いい生活賃貸管理クラウド』を活用することで、業務の効率化はもちろんのこと、督促も含めた賃貸管理業務におけるミスや手戻りなどを防ぐこともできますので、ぜひ導入をご検討ください。

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