マンション管理人は、住人が安心して暮らせるように、日々の管理やサポートを行う大切な存在です。しかし、実際にどのような仕事をしているのか詳しく知らない人も多く、中には「本当に必要なの?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、マンション管理人の具体的な役割や勤務形態について詳しく説明します。また、近年はマンション管理人の数が減少し、人手不足が深刻化しています。その原因や影響、対策についても解説しますので、参考にしてみてください。
マンションにとって重要な管理人とは
マンション管理人の仕事は、住民が安心して快適に暮らせるようサポートすることです。管理人は管理会社に所属し、マンションに派遣されて日々の業務を行います。その仕事内容は、マンションの点検や清掃、設備の管理など建物に関する作業だけでなく、住民からの相談や苦情を受け付け、管理会社に報告することも含まれます。
さらに、管理人は住民同士のトラブルを未然に防ぐ役割も果たします。例えば、不審者の侵入を防ぐために目を光らせたり、住民のマナーが守られているかをチェックし、必要に応じて注意を促したりします。
マンション管理人は住民が安全で快適な生活を送れるよう、建物の管理と住民間の調整を含めた幅広いサポートを行う大切な存在なのです。
マンション管理人の勤務形態
マンション管理人の勤務形態にはいくつかの種類があり、それによって管理方法も異なります。主な勤務形態は以下の4つです。
- 住み込みでの勤務
- 常駐での勤務
- 巡回での勤務
- 無人での勤務
それぞれの勤務形態について、さらに詳しく見ていきましょう。
住み込みでの勤務
担当するマンションに住み込みながら管理業務を行う仕事です。管理人用の居室が用意されており、家族と一緒に住むことができる点が魅力です。
勤務時間はマンションによって異なりますが、一般的には9~18時といった所定の時間に管理業務を担当し、パートやアルバイトだけでなく、正社員として募集されることも多くあります。
通勤が不要で、家賃や光熱費を管理会社が負担してくれる場合が多いのもメリットです。しかし、トラブルが発生すると、早朝や深夜でも住人から対応を求められることがあり、時間外労働が増えがちな点がデメリットといえるでしょう。
また、管理会社側から見ると、住み込みの管理人を雇うことで管理費が高くなる傾向がある点もデメリットです。
常駐での勤務
管理会社から委託を受け、管理人が担当するマンションに毎日通勤する勤務形態です。勤務時間は9〜18時など、決められた時間内でマンションの管理業務を行います。雇用形態は管理会社によって異なり、正社員やパート、アルバイトなどさまざまです。複数の管理人がシフト制で勤務するため、マンションには常に管理人がいる体制が整えられています。
また、管理人は自宅から通勤するため、一般の会社員と同じような生活スタイルになります。さらに、勤務時間もそれほど長くないため、働きやすいと感じる人も多いでしょう。ただし、住み込みの管理と同様に、管理費が高くなりやすい点は管理会社にとってのデメリットとなります。
巡回での勤務
管理人が常駐せず、定期的に巡回して管理する勤務形態です。巡回の頻度は管理会社やマンションによって異なりますが、一般的には週に2~3回の巡回が行われ、管理人は決まった曜日にのみ出勤します。この形式は規模の小さいマンションでよく採用され、コストを抑えられる点が管理会社にとってのメリットです。
しかし、住人にとってはトラブルが発生しても即座に対応できない可能性があるため、物件選びの際に敬遠されることもあります。
無人での勤務
この形態では、現地に管理人が常駐せず、トラブルや相談が発生した際は、直接管理会社やセキュリティシステムに連絡する方式です。管理人が不在のため、緊急時の対応に時間がかかることがデメリットとなります。ただし、防犯対策として、監視カメラでのモニタリングや遠隔操作での解錠・施錠が可能なマンションもあります。
マンション管理人の仕事内容
マンション管理人の業務内容や勤務形態は、マンションごとに異なります。ここでは、管理人が一般的に行っている業務をいくつかご紹介します。
- 受付業務
- 設備の点検業務
- 清掃業務
- 立会業務
- 管理会社への報告業務
このように、マンション管理人は幅広い業務を担い、マンションの快適な住環境を支えています。
受付業務
受付業務とは、マンションの住人や訪問者が来た際に対応する仕事です。訪問者にはマンションに来た目的を確認し、来館者名簿に記入してもらいます。また、キッズスペースやゲストルームなどの共用設備がある場合、それらの管理も受付業務に含まれます。また、利用者の受け付けだけでなく、設備そのものの管理を行うこともあります。さらに、受付業務には次のような内容も含まれます。
- 住人の要望受付
- 住人による苦情の受け付け
- 備品管理
- 掲示板や回覧板を活用した通知事項の掲示
- 駐車場や駐輪場の使用申込み受付
- 共有設備のカギの管理
- 共有設備のカギの貸出
設備の点検業務
マンション敷地内や建物内部の設備を定期的に点検するのも、管理人の重要な役割の1つです。主な点検対象には以下の設備が含まれます。
- 照明
- エレベーター
- 廊下
- エントランスの自動ドア
- 消防設備
- 分電盤
例えば、照明が切れている場合、手が届く範囲であれば管理人自身が交換することがあります。しかし、エレベーターの故障や自動ドアの不具合など、管理人では対応できない問題が発生した場合は、業者に依頼して修理の日程を調整します。
これらの設備に異常があると住人の生活に直接影響を及ぼすため、定期的な点検は快適な住環境を保つために欠かせない重要な業務です。
清掃業務
マンションの共用部分を常に清潔に保つことも、管理人の大切な仕事の1つです。エントランスや廊下、階段、エレベーター、さらには駐車場や駐輪場など、マンション内には多くの共用スペースがあります。管理人は日々これらのエリアを巡回し、掃き掃除や拭き掃除を行い、美観を維持します。
また、マンションの敷地内に庭や公園があれば、植木の手入れや草むしり、水やりなどの管理も担当します。雪が多く降る地域では、除雪作業も重要な業務です。
共用部分が広く、清掃箇所が多いマンションでは作業量も自然と増えることになりますが、これらの清掃は入居者が快適に暮らすために欠かせない業務です。
立会業務
エントランスの自動ドアやエレベーターの点検・修理、補修工事が行われる際には、工事の進行を確認するために立ち会います。工事が予定通り進んでいるかを確認し、不具合があればすぐに管理会社へ報告します。
さらに、ゴミ収集時の立ち会いも重要です。住人が正しくゴミを捨てているかを確認し、問題があれば住人に注意喚起を行います。ゴミの収集後には、収集場所の清掃も行います。
管理会社への報告業務
管理人は、対応した内容を時系列で管理会社へ報告する役割も担っています。基本的には月に1回の報告が必要です。主な報告内容は以下のとおりです。
- 定期報告
- 苦情報告
- トラブル報告
- 点検作業の実施報告
- 修理作業完了の報告
- 災害時の緊急連絡
マンション管理は人手不足が深刻化している
近年、多くの業界で人手不足が問題となっており、マンション管理業界も例外ではありません。この人手不足により、管理業務が円滑に進まず、さまざまな課題が生じています。
人手不足になる要因
まずは、マンション管理人の人手不足が進んでいる理由について、詳しく見ていきましょう。
定年延長による影響
人手不足の一因として、定年延長が挙げられます。政府は企業に対し、70歳までの継続雇用を促進しており、高齢者の雇用機会が増えています。以前は、60歳で定年を迎えた方が次のキャリアとしてマンション管理人を選ぶことが一般的でした。しかし、定年が延長されたことで退職を選ばずに現在の仕事を続ける人が増え、その結果、マンション管理人の求人に応募する高齢者が減少し、人手不足が深刻化しているのです。
3Kのイメージ
マンション管理人の仕事は、「きつい」「汚い」「危険」という3Kのイメージを持たれることがあります。清掃や点検箇所が多く、業務が長時間に及ぶことも多いです。また、住民からのクレーム対応や住人同士のトラブル解決に追われることもあり、精神的な負担が大きいと感じる人も少なくありません。このような理由から、「大変な仕事」という印象が強く、人材確保が難しい要因となっています。
マンションの管理人不足による影響
マンションで管理人が不足すると、住人の生活にさまざまな問題が発生します。例えば、清掃が行き届かないことで、エントランスや廊下、エレベーター、ゴミ置き場、駐輪場、駐車場などが汚れやすくなります。これにより、見た目が悪くなるだけでなく、虫の発生や悪臭といった衛生面でのトラブルも引き起こされるでしょう。
さらに、駐輪場や駐車場の管理が不十分になると、無断駐車や無断駐輪が増える可能性があり、防犯面でも不審者の侵入などのリスクが高まります。
マンション管理人不足の対処法
マンション管理人の不足に対応するためには、以下のような方法が考えられます。
- 自主管理を行う
- 機械警備システムを導入する
- デジタルツールを活用する
これらの対策について、それぞれ説明していきます。
自主管理
自主管理とは、管理会社に依頼せず、マンションの所有者が自分たちで管理する方法です。住人が清掃や管理業務を担当するため、管理費用を抑えることができます。また、住人同士が協力することで交流が深まり、コミュニティの一体感を高められるという利点もあります。
しかし、清掃や管理に時間や手間がかかる点がデメリットです。また、住人全員が協力しなければ、管理がうまくいかない可能性もあります。
機械警備システムの導入
近年、マンションに機械警備システムを導入するケースが増えています。機械警備システムを導入すれば、ドアや窓の破損、塀を越えた侵入者をカメラやセンサーが感知すると、警備会社がすぐに対応してくれます。
これにより、常駐の警備員がいなくても、しっかりとした安全対策が可能です。
デジタルツールの活用
近年、管理人不足を解消するためにデジタルツールを活用する動きも進んでいます。例えば、住戸のインターホンを管理会社のモバイル端末と連携させることで、お知らせの配信や共有スペースの利用申請など、さまざまな業務を遠隔で処理できる仕組みが導入されています。
そんなデジタルツールの1つである入居者アプリ『いい生活Home』では、アプリを通じて、住人が簡単にお知らせを受け取ったり、トラブルの報告やメンテナンスの依頼を行ったりできます。これにより、管理会社は住人とスムーズにコミュニケーションを取ることができ、依頼内容も確認次第すぐに対応できるようになるため、対応の遅れや手間を減らし、業務がスムーズに進むようになります。結果として、管理会社の業務負担を軽減し、効率的な運営が可能になります。
マンション管理人不足対策をして住人の生活を守ろう
今回は、マンション管理人の仕事内容などについて解説しました。管理人は、住民が安心して生活できるよう、清掃や設備点検など、さまざまな業務を担っています。しかし、定年延長や3K(きつい、汚い、危険)のイメージにより、深刻な人手不足が問題となっているのが現状です。
そこで注目されているのが、デジタルツールの活用です。デジタルツールを導入することで、管理人の一部の業務をシステムに任せることができるようになります。例えば、入居者アプリ『いい生活Home』を利用すれば、入居者からのトラブル対応や契約更新の案内といった業務をデジタル化することが可能です。賃貸管理業務の効率化を目指すなら、ぜひ導入を検討してみてください。