賃貸借契約の更新とは、物件の貸主と借主が契約期間の満了に伴い、契約を延長するための手続きです。この手続きでは、契約の延長条件や更新料がかかるかどうかなどが取り決められ、特に物件を管理・運用する立場にとっては重要なポイントとなります。
賃貸借契約自体は、物件を貸す・借りる際に交わされる契約であり、契約書には期間や契約内容、解約方法などが記載されます。更新の際には、更新料が発生する場合もあり、その計算方法や注意点を理解しておくことが大切です。
そこで今回は、賃貸借契約の更新手続きや更新料の計算方法、注意すべき点についてくわしく解説します。契約更新時に必要な手続きについてもご紹介しますので、参考にしてみてください。
賃貸借契約の更新の種類
賃貸借契約は、2年契約が一般的です。2年以上居住する場合は契約を更新する必要があります。契約の更新は主に以下の3種類です。
- 合意更新
- 自動更新
- 法定更新
合意更新
合意更新は、賃貸人と賃借人の双方の合意の下で契約を継続するものです。
契約期間において制限はされていませんが、期間が1年未満だった場合は期間の定めがないものとされ、更新にあたって契約条件を自由に変更可能です。
ただし、借地借家法の強行規定に反した特約で借家人となった場合は不利なものは無効です。契約更新時には、新たな契約期間を記載した賃貸借契約書2通を入居者と大家さんがお互いに署名捺印して1通ずつ保管します。
自動更新
自動更新は合意更新の一種であり、前もって2年契約を続けることを約束し、期間が満了になったタイミングで自動的に更新されるものです。期間満了前に書面で更新しないことを通知しない限り、更新が続きます。更新手続きを忘れるといったことが起きにくいため、利便性が高いでしょう。
法定更新
法定更新は、契約更新に関する同意がないまま契約期間が終了したケースにおいて、借地借家法に基づいて今までの契約内容や条件で契約が自動的に更新されることを指します。一定の条件を満たしていれば、お互いの合意がなくても契約の更新が可能です。
借家契約では、当事者が期間満了の6カ月前~1年前までの間に相手に対して更新拒否の通知をしていない、契約期間満了後に賃借人から意義の通知がない場合が対象です。法定更新の場合、2年ごとの契約更新ではなくなります。
賃貸更新料とは?
賃貸更新料とは、賃貸借契約の更新の際に必要となる更新料のことです。ここでは、賃貸物件の更新料について、相場や支払いのタイミングなどについてご紹介します。
毎月の家賃とは別に支払う手数料
更新料は、賃貸物件のオーナーが更新手続きを行う際の手間賃という位置づけです。ただし、法律で義務付けられているわけではないので、更新料を支払うという習慣がない地域もあります。国土交通省の調査(令和元年度 住宅市場動向調査)によれば、更新料を支払っている世帯は45.8%となっています。
賃貸更新料の相場はどれくらい?
賃貸更新料の相場は、家賃の1~2カ月分が一般的です。
更新料には、家賃の負担を軽減する代わりにもらうもの、長期間部屋を借りることへの謝礼という意味も込められています。賃貸オーナーが自由に設定できるものなので、更新料という名目での支払いがない代わりに家賃にプラスされているケースもあります。
賃貸更新料を支払うタイミング
賃貸契約には通常、決められた契約期間があり、その期間が終わる際に賃貸オーナーと入居者が合意すれば、契約を更新できます。更新を希望する入居者は、更新料を支払って手続きを完了させるのが一般的な流れです。支払方法には現金や振り込みなどがあり、支払期限までに手続きを済ませる必要があります。
多くの賃貸物件を管理している場合、入居者ごとに更新のタイミングや金額が異なるため、管理が複雑になりがちです。そこで、効率的な管理を支援するツールとして賃貸管理システム『いい生活賃貸管理クラウド』の活用をご検討ください。このクラウドサービスは、契約更新時期を事前にアラートで通知し、更新の連絡もスムーズに行える機能を提供します。その結果、管理業務の負担を軽減し、更新時期をわかりやすく把握できるようになります。
更新時に必要な更新料以外の費用
ここでは、更新時に必要な更新料以外の費用についてみていきます。
- 火災保険の更新料
- 保証会社の更新料
- 更新手続きの手数料
火災保険の更新料
賃貸物件に住む場合、必ず火災保険への加入が求められます。賃貸物件の契約期間に合わせて加入することが一般的で、物件の更新時に火災保険の更新料も併せて支払う必要があります。
火災保険は、火災はもちろんのこと、台風や落雷などの災害に遭ったときに損害に応じて保険金が支払われます。賃貸物件では、大家さんと入居者それぞれが加入することが通例です。
法律上、入居者の火災保険加入は義務ではありませんが、賃貸借契約の条件に加入を求められることがあります。
入居者が加入する火災保険は、自身が火事を起こしたときだけでなく、隣家からのもらい火などで家具や家財を喪失した場合にも補償されます。また、入居者が原状回復できない場合にも火災保険から補償されるため加入は欠かせないといえるでしょう。
家賃保証会社の更新料
家賃保証会社は、入居者が家賃を払えなくなった場合に、代わりに支払義務を負います。
昨今では、連帯保証人に連帯保証を依頼するケースよりも保証会社を利用するケースが増えてきています。保証料は家賃の10%程度が一般的です。
保証会社の利用はプランなどで内容が異なることもあり、家賃滞納で入居者から回収できない場合は原状回復費などの一時立て替えをするものもあります。保証会社の更新料も、1年もしくは2年ごとにかかります。
更新手続きの手数料
物件によっては、契約更新時の手続きに必要な手数料を請求されることもあります。これはオーナーに支払う更新料ではなく、不動産管理会社などに事務手数料として支払われるものです。
手数料の相場は、家賃の20~50%程度が多くなっていますが、手数料無料の場合もあります。
賃貸更新料の計算方法
賃貸更新料は、基本的にオーナーもしくは管理会社などが決定します。利便性が高く、居住性の高い物件であれば、更新料を支払っても居住を継続したいと考える人は多いでしょう。一方、物件に魅力がなければ、更新料を支払うことなく退去する方が多くなります。
これらを踏まえて、入居を継続する場合にどれくらいの費用がかかるのかをシミュレーションしてみましょう。
例)家賃8万円の賃貸物件で更新に必要な費用
- 賃貸物件の更新料…8~16万円(目安は家賃の1~2カ月)
- 火災保険の更新料…1~2万円(目安は1~2万円)
- 保証会社の保証料…1~2万円(目安は1~2万円)
- 更新手数料…16,000~40,000円(目安は家賃の20~50%)
- 合計…116,000~240,000円
賃貸更新料に関する注意点
賃貸物件の更新料には、いくつかの注意点があります。ここでは、以下のポイントについて解説します。
- 契約更新料を請求する場合は、必ず賃貸契約書に記載する
- 支払ってもらえない場合は遅延損害金・強制退去になる可能性を事前に伝えておく
- 入居者が減額交渉をしてくる場合がある
契約更新料を請求する場合は、必ず賃貸契約書に記載する
契約更新料を請求する場合は、賃貸契約書にその内容を明記することが重要です。更新料は法律で支払いが義務付けられているわけではなく、あくまで慣習に基づくものです。そのため、契約書に更新料の条件を具体的に記載し、借主と貸主の双方が合意していることを確認する必要があります。
賃貸契約を結ぶ際には、契約書の内容をしっかりと確認し、納得したうえで契約を締結しましょう。更新料を請求する場合は、必ずその条件を契約書に記載するようにしてください。
更新料の滞納は遅延損害金の支払いや強制退去につながる可能性を事前に伝えておく
更新料についての取り決めがあるにもかかわらず、支払いの遅延・滞納がある場合は遅延損害金の発生や強制退去の可能性についても伝えるようにしましょう。遅延損害金については、年利14.6~20%に設定されていることが一般的です。この場合、更新料が6万円であれば31日間の遅延で744円の遅延損害金となります。
入居者が減額交渉をしてくる場合がある
更新料について、入居者から減額交渉を受けることは珍しくありません。法律上、更新料の支払いは義務ではないため、交渉の余地があるからです。ただし、オーナーや不動産管理会社としては、減額に応じるかどうかを慎重に検討する必要があります。その際には、物件の状態や市場の賃料相場、入居者の継続的な賃貸意欲など、さまざまな要素を考慮することが重要です。
例えば、物件が老朽化している場合や、近隣により低い賃料の競合物件がある場合、減額交渉に応じることで長期的な入居者の確保につながる可能性があります。一方で、更新料を物件の維持管理費や改装費に充てている場合、減額が物件の品質維持に支障をきたすリスクもあるため、慎重な対応が求められます。
もし減額に応じない場合でも、賃料や契約条件の見直しなど、柔軟な対応を検討することで入居者との関係を維持する方法もあります。これらの要素を総合的に判断し、最適な対応策を見つけることが、物件の価値と収益性の維持に役立ちます。
更新料に関する気になること
賃貸物件の更新料については、税金の扱いや法的な観点で気になる点が多いでしょう。ここでは、更新料が消費税の課税対象になるかどうかや、更新料の請求が法律に違反するかについてわかりやすく解説します。
更新料は消費税の課税対象?
更新料は、居住用として借りている物件の更新料なので、非課税扱いとなります。なお、更新料の他に敷金、礼金、保証金なども非課税扱いです。ただし、事業用物件は更新料も課税対象になりますので、注意が必要です。
更新料を請求するのは違法にあたらない?
更新料は、平成23年7月15日の最高裁で支払特約の有効性を判断しており、消費者の利益を一方的に害していない限り、違法ではないと判断されています。ただし、高額すぎる更新料は違法となる可能性がありますので注意が必要です。
面倒な契約更新の管理は『いい生活賃貸管理クラウド』にお任せ
入居者管理や契約において、個々の管理をしているだけでは効率の悪さを感じることもあるでしょう。特に契約更新は2年に1回のペースなので、忘れることもあります。
入居者の一括管理をしたい場合は、賃貸管理システム『いい生活賃貸管理クラウド』で活用することで募集から入居契約、入居後の管理業務に関してもカバーしてくれます。更新時期にはアラート機能などで通知してくれるので忘れずに対応可能です。
更新時の費用請求や書類などもまとめられるので、この機会に賃貸管理システム『いい生活賃貸管理クラウド』をチェックしてみてください。
賃貸更新料の対応・手続きは忘れずに!
更新料の支払いは義務ではありませんが、契約内容や地域の慣習によって異なるため、入居者とオーナーの双方が理解しておくことが大切です。また、火災保険や保証会社の更新料など、契約更新時に発生する他の費用についても把握しておく必要があります。
更新手続きを進める際は、あらかじめ必要な準備をしておきましょう。特に、複数の契約更新を同時に管理する場合は、効率的な管理が求められます。そこで、賃貸管理システム『いい生活賃貸管理クラウド』の活用をおすすめします。このクラウドサービスは、契約更新時期を知らせるアラート機能をはじめ、入居者の管理や費用の請求手続きなどを一括でサポートし、更新業務をスムーズに進めることができます。
効率的な管理方法を検討し、ぜひ賃貸管理システム『いい生活賃貸管理クラウド』をご活用ください。サービスの詳細やお問い合わせについては、以下からご確認いただけます。