これから不動産業界で独立開業を目指している方や、異業種からの転職を検討している方の中には、どれくらいの年収が期待できるのか気になっている方もいるのではないでしょうか?不動産業界はほかの業界と比べて年収が高い傾向にあるといわれています。
そこで今回は、不動産業界の年収相場をご紹介しつつ、年収が高いといわれる理由や高収入を目指す方法について解説します。年収相場が気になる方はぜひ参考にしてみてください。
不動産業界の平均年収は約400万円
まずは、不動産業界の平均年収についてご紹介します。厚生労働省が毎年発表している「賃金構造基本統計調査」では、産業別の平均賃金が発表されています。
令和5年度の結果をみると、「不動産業、物品賃貸業」の平均賃金は約34万円、年収に換算すると408万円になることがわかります。年齢別にみると以下の結果です。
年齢 | 平均賃金 |
---|---|
~19歳 | 182,100円 |
20~24歳 | 232,500円 |
25~29歳 | 272,500円 |
30~34歳 | 301,500円 |
35~39歳 | 347,400円 |
40~44歳 | 371,900円 |
45~49歳 | 401,000円 |
50~54歳 | 419,300円 |
55~59歳 | 422,800円 |
60~64歳 | 316,000円 |
65~69歳 | 237,000円 |
国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、全給与所得者における平均給与は458万円で、不動産業界は平均よりも低いように思えます。しかし、賃金構造基本統計調査には賞与や手当などが含まれていないため、これらが加わることで平均給与より高い金額をもらえる人も一定数いると考えられます。
不動産業界の職種・業種別の平均年収
不動産業界と一括りにご紹介しましたが、その中にもさまざまな職種が存在します。それぞれの職種別だと平均年収にどれくらいの違いがあるのでしょうか?ここからは、不動産業界の職種別平均年収についてご紹介します。
不動産営業:500万円~
不動産の営業職の年収は約500万円といわれています。
営業職の場合、基本給+歩合(インセンティブ)で年収が決定するケースも多いです。不動産取引自体の単価が高額なため、1軒でも契約につながれば高額なインセンティブを受け取れる可能性があります。
ただし、取り扱う物件の種別によっても年収が上下します。不動産仲介会社の収入源となる仲介手数料は、物件価格や賃料に連動するため、取り扱う物件の単価によって歩合は大きく異なるでしょう。
不動産事務:約400万円
不動産事務は、問い合わせの対応やデータ管理、資料作成、契約書の作成や説明など、営業職をサポートする業務が中心となります。業界未経験でも事務スキルがあれば十分に戦力になる職種です。平均年収は約403万円で、不動産営業に比べると低いものの、歩合によって上下することがないため、安定した収入が期待できます。
不動産事務の仕事はキャリア形成がしやすく、宅地建物取引士などの資格を取得するなど努力していけば、昇進を狙うことも可能です。また、仕事の内容によっては、ほかの業界で培ってきたスキルが活かせる場面もあります。
不動産管理業:約300~500万円
不動産管理業は、賃貸アパートやマンション、ビル、土地などの管理を行います。不動産管理業における平均年収ですが、管理業務主任者の年収は約300~500万円といわれています。
管理業務主任者は国家資格で、マンションの区分所有者で構成している管理組合に対する管理委託契約の重要事項説明、管理事務報告などを行います。管理業務主任者には独占業務があることに加えて、管理組合には管理業務主任者の「設置義務」があることから、需要の高い職種といえるでしょう。
ディベロッパー:約550万円
ディベロッパーは、マンションやビルなどの建設や開発を中心に手掛ける業種です。平均年収は約550万円で、日本国内における平均年収と比較しても高い傾向にあります。ディベロッパーの仕事は、用地を取得してからマンションや商業施設など、さまざまな施設の企画・開発を行うことです。街づくり全般に関わる場合は総合ディベロッパー、特定の施設の開発を担う場合は専門ディベロッパーと呼ばれます。
ディベロッパーは、不動産に関する豊富な知識が必要になってくると共に、多くの関係者と連携してプロジェクトを進めるためのコミュニケーションスキル、用地取得に欠かせない交渉力なども必要です。大手ディベロッパーは、海外で事業展開している場合もありますので、英語などの語学力が求められる場合もあります。
不動産コンサルタント:約600~800万円
不動産コンサルタントは、不動産に関するさまざまな悩みを解決するために、アドバイスやサポートを行う業種です。例えば、不動産経営を手掛けるオーナーのサポート、手続きの代行といった事務を請け負うこともあります。不動産会社やコンサル会社に所属することに加えて、個人で活動することも可能です。
平均年収は約600~800万円ですが、企業の規模や独立・開業しているかによっても年収額は異なります。そのため、実力次第で高収入が狙える業種といえるでしょう。
その一方で、基本的に顧客のスケジュールに合わせて行動することになるため、長時間労働になりやすい傾向があります。また、不動産の知識だけでなく、金融や法律に関する知識も求められます。
不動産業界は「年収が高い」といわれる理由とは?
不動産業界はほかの業界に比べて年収が高いといわれています。なぜ、そのようにいわれているのでしょうか?ここからは、年収が高いといわれる理由について解説します。
不動産営業の年収が高い傾向にあるため
1つ目の理由として、不動産営業の年収が高い傾向にあることが挙げられます。「不動産業界の職種別の平均年収」の項目でもご紹介したように、不動産業界の年収は約400万円です。これは、全産業の平均年収を下回っています。
しかし、不動産営業はインセンティブがあるため、年収が平均を上回るというケースも少なくありません。世間一般には不動産業=インセンティブが多いというイメージを持つ方もいるため、不動産業界は年収が高いと思われているようです。
不動産という商材自体が高価なため
土地や建物は高額商材です。場合によっては数百億円が動くというケースもあります。
とくに、不動産売買は1件あたりの単価が高く、成果が出れば高額なインセンティブを受け取れる場合があり、高収入だと思われています。一方、賃貸仲介におけるインセンティブは仲介手数料の数%程度です。仲介手数料は、多くても家賃の1.1カ月のため、インセンティブで稼ぐとなるとかなりの数の成約を獲得する必要があります。
不動産は企画次第で商品価値が上がるため
不動産の価格は土地・建物の価値と連動する性質を持っています。築古のマンションを購入し、リフォームによって設備や間取りをアップデートすれば、多くの購入検討者を集客できるでしょう。
不動産は1つとして同じものはありません。そのため、創造性や企画力といった付加価値によって差別化しやすくなります。言い換えれば、ほかの商材と比べて利益を得やすく、実際に得ている人もいるため高収入のイメージを持っている方が多いのでしょう。
不動産業界で働く「年収」以外の魅力とは?
不動産業界は、ほかの産業と比較しても、高収入を狙いやすい業界といわれていますが、収入以外にも働く魅力があります。どのような魅力があるのか解説していきます。
男女共に活躍できる
総務省統計局が発表した「令和4年就業構造基本調査」によれば、不動産業・物品賃貸業の雇用者総数は1,294,400人で、男性が751,400人(58.1%)、女性が543,000人(41.9%)となっています。この結果から、不動産業界は男性の方が多い業界といえるでしょう。
しかし、女性が少ないからといって働きにくい・稼ぎにくい環境というわけではありません。不動産業界は基本的に実力主義の世界なので、女性でも実力があれば年収1,000万円以上を稼ぐことも可能です。
とくに男女関係なく、丁寧な説明や提案、おもてなし精神による細やかな気遣いなどができる人は、顧客からの印象も良くなります。法人客から信頼を得られれば、大きなインセンティブを受け取れることも期待できるでしょう。
大きな達成感ややりがいを感じられる
不動産業界の仕事は、人間が生活していく上で欠かせない「住」を扱うものです。そのため、顧客のニーズや要望は多岐にわたり、そのこだわりや希望を叶えることで得られる達成感ややりがいは大きいものといえるでしょう。
とくに不動産売買は、一生に一度の買い物といわれるマイホームの取得に関わることが多く、顧客と直接関係を構築できることから、より大きなやりがいを感じられるはずです。
長期的にキャリアを構築できる
不動産業界には仲介業務や管理業務、販売業務などさまざまな職種があり、それぞれで仕事内容も異なります。同じ不動産業界で働いているといっても、必要となる知識やスキルが違ってくるのです。
業種ごとで必要な知識やスキルは異なりますが、仕事をする中で活かせる場合もあります。場合によっては新しいビジネスチャンスを生み出すきっかけになる可能性もあるでしょう。
不動産業界にはこれまでの歴史から培われてきたノウハウも多くあるので、今から身に付けられる知識やスキルも多いです。不動産業界は将来的になくなってしまう可能性は考えにくく、学び続けることで長期的なキャリア構築にもつながるでしょう。
不動産業界で独立開業した場合の年収相場は?
同じ不動産業界でも、不動産会社で勤務している場合と独立開業した場合では年収の相場が異なります。ここでは、独立開業した場合の年収相場をご紹介します。
独立開業した場合の年収相場は600万円程
取り扱う不動産や業態、地域によって異なりますが、独立開業した場合の年収相場は約600万円程度といわれています。
なお、不動産業を開業した当初はこの金額を下回る可能性があります。というのも、開業初期は新規顧客の獲得や同業者の人脈づくりなど、信頼構築を構築するのに時間を割く必要が生じるからです。年収は、実務経験を積むことで少しずつアップさせることができます。開業してからしばらくは不動産業界の平均年収の446万円を意識して取り組むと良いかもしれません。
独立開業した後の収入源
不動産会社に勤めている営業職の場合、毎月の給与に加え、インセンティブが主な収入源となります。しかし、独立開業した場合は会社から自動的に給与が支給されることもなくなり、従業員を雇用する場合は保険料や給与を支払う側になるため、十分な収入源を素早く確保しなければいけません。独立開業した後の主な収入源は以下のようなものが挙げられます。
- 仲介手数料(売買・賃貸)
- 賃貸管理手数料
- 不動産の売却益
- 自社が所有する物件の賃料
不動産仲介業の場合は、売買または賃貸を仲介したことで得られる手数料が主な収入源となります。不動産管理業の場合は、物件の管理業務を代行することで得られる手数料が収入源です。
一方、自社で不動産を所有している場合は、不動産の売却益や所有する物件を貸し出すことで得られる賃料などを主な収入源にできます。
開業から数年は年収が低い可能性がある
上でも述べたように、不動産業界では開業当初から順調に売上を伸ばせるケースはあまり多くありません。むしろ、顧客がなかなかつかず苦戦することを想定しておく必要があります。
顧客は企業のブランドや信用度を重視します。そのため、知名度や実績がない中小企業よりも大手企業を、個人よりも法人を選ぶ傾向にあります。
独立開業後は、これまでに築き上げてきた人脈を活かして新規顧客の紹介や物件の仕入れを図りつつ、徐々に実績を積み重ねていくことが重要です。専門分野に特化したサービスを提供することなども効果的です。
不動産業界で独立するメリットやデメリットについては、以下の記事でも解説していますので参考にしてみてください。
不動産業界の独立開業で成功して高年収を得るには
年収が高い傾向にある不動産業界でも、独立開業した直後は年収が大幅に低下する可能性もあります。そのため、安定した収益を得るためには戦略を立てることが重要です。そこで、不動産業界の独立開業を経て、高収入を得られるようになるためのポイントについて解説します。
開業資金をなるべく抑える
不動産業界に限った話ではありませんが、独立開業する場合は開業資金が必要になります。不動産業界における開業資金の目安は約400万円といわれていますが、数カ月分の運営資金も必要となってくるため、実際にはさらに必要になることでしょう。
その一方で、高収入を得るためには極力開業資金を抑えることが大切になります。開業資金の中でも費用を抑えやすいものとして、店舗の賃料、PC・コピー機といった各種備品の費用などが挙げられます。とくに店舗の賃料は開業資金に占める割合が大きいため、コスト削減の効果が高いといえるでしょう。
業務の効率化を目指す
独立開業を果たしたばかりだと人的リソースが限られており、1人が担う業務の量も多くなります。とくに1人ですべての業務を担っていると、直接売上につながる営業以外の業務に時間を費やしてしまう可能性もあるでしょう。人的リソースが限られた状況では高収入を目指すことも難しいです。
高収入を目指していくためには、業務の効率化を図っていく必要があります。効率化を図る手段もさまざまですが、とくに効果的なのは業務支援ツールの導入です。
『いい生活のクラウドSaaS』では、すべての不動産業務を効率化できます。それぞれの業務に合わせて活用できる業務支援ツールは以下のとおりです。
▼売買仲介業務支援サービス
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いい生活売買クラウド 営業支援 | ・営業活動・追客をさらに効率化したい ・LINEやチャットで効率的に追客したい |
不動産会社向けホームページ作成ツール『いい生活ウェブサイト』 | ・集客に強いホームページを作成・運営したい |
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ClimberCloud | ・インボイス制度・改正電子帳簿保存法に完全対応した電子帳簿保存サービス |
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ClimberCloud | ・インボイス制度・改正電子帳簿保存法に完全対応した電子帳簿保存サービス |
このように、さまざまな支援ツールをご用意しておりますので、導入を検討してみてください。
コネクションを持つ
不動産業界で活躍していくためには、コネクションを持つことも大切です。同業他社やほかの業界とのコネクションがあれば、不動産経営や営業活動における有利な情報も仕入れやすくなります。
とくに独立開業した直後は会社の知名度が低いため、集客に苦労する可能性は高いです。紹介などを含め、コネクションを最大限活用し、実績を積み重ねながら知名度、信用度を高めていくことが求められます。
サービスの差別化を図る
不動産業界で成功を収めるためには、競合他社とは異なるサービスを提供することも大切です。差別化を図ることで自社が提供するサービスの価値が高まると、顧客から選ばれる機会が増えることでしょう。
賃貸仲介業を手掛けるのであれば、引っ越し業者の紹介サービスなどを行ってみるのもおすすめです。また、競合が少ない目玉物件を中心に扱う、地域と連携して学生や労働者、高齢者を支援する物件を紹介するといったことも1つの方法です。
競合他社と差別化を図る方法については、以下の記事でも解説していますので参考にしてみてください。
不動産業界は高収入を狙える業界!
今回は不動産業界の年収相場や年収が高いといわれる理由、高収入を目指す方法についてご紹介しました。不動産業界の年収相場は業態などによって異なるものの、ほかの業界と比べて高い傾向にあります。そのため、不動産業界への参入や独立開業によって高収入を得ることも期待できるでしょう。
ただし、参入や独立開業直後から高収入が期待できるわけではありません。独立開業直後はとくに人的リソースが不足している状態であり、コア業務に集中したくてもできない状況に陥ってしまう可能性もあるでしょう。そのため、高収入を目指すのであれば事務作業や書類作成など繁雑な業務は、支援ツールに任せてしまうのもおすすめです。
『いい生活のクラウドSaaS』では、すべての不動産業務を効率化できるよう、さまざまな支援ツールをご用意しております。賃貸仲介業務や売買仲介業務、賃貸管理業務などに対応できますので、業務効率化により高収入を目指したい方はお気軽にご相談ください。