「賃貸」には、大きく分けて仲介業務と管理業務の2種類があります。それぞれの業務内容をはじめ、必要な資格や登録制度も異なるため、その基本的な違いを理解しておきましょう。
そこで今回は、「管理会社」と「仲介会社」の違いについて、主な業務の特徴を挙げて詳しく解説します。また、それぞれの業務を効率化するシステムについてもご紹介します。
「管理会社」と「仲介会社」の違いや大家さん(オーナー)について
管理会社とは、オーナーの代わりに入居者や建物を管理する会社のことです。対して、仲介会社は住まいの売買や賃貸借を媒介する会社のことを指します。ここでは、賃貸住宅の管理会社と仲介会社について解説し、大家さん(オーナー)の役割についても紹介します。
管理会社:管理業務を大家さん(オーナー)に代わって行う
管理会社は、不動産の管理業務を専門に行う会社です。大家さん(オーナー)に代わって、賃貸物件の日常的な管理や維持を行います。
2011年から「賃貸住宅管理業者登録制度」という制度が設けられています。この制度により、管理戸数が200戸を超える場合、管理会社は賃貸住宅管理業者の登録が必須となりました。管理戸数200戸未満の管理会社は任意です。しかし、登録が推奨されています。
管理会社には、具体的に次のような業務があります。
- 物件の運用
- 入居者の募集
- 家賃の回収
- 修繕作業
- 清掃・メンテナンスなど
このように、賃貸と建物両方を管理するのが管理会社の役割です。
管理会社の主な収益は、大家さん(オーナー)から支払われる管理手数料となります。管理手数料は仲介手数料と違い、法律によって上限は決められていません。
仲介会社:部屋の賃貸借を媒介する
仲介会社は不動産の賃貸借契約において、仲介の役割を果たす会社です。入居者とオーナーの間で、賃貸借取引を円滑に進めます。また、仲介会社の役割は、賃貸借の仲介だけではありません。入居者の希望に基づいて物件を紹介したり、条件の交渉や契約書の取り決めを行ったりするのも仲介会社の業務です。他にも、物件の確認や調査、募集情報の公開、入居者への案内、内見の手配などに関与します。
仲介会社は「貸したい」という不動産のオーナーと「借りたい」という借主、両方をサポートします。そのサポートの対価として受け取るのが仲介手数料です。仲介手数料の金額は、法律で決まっている上限までなら自由に設定できます。
仲介・管理会社:仲介・管理どちらも行う
仲介・管理会社は、賃貸借契約の仲介業務と賃貸物件の管理業務をどちらも行う会社です。物件の取引からマンションの維持・管理まですべて対応できるという点が特徴です。
大家さん(オーナー):賃貸物件を所有し管理業務を行う
大家さん(オーナー)とは、不動産の所有者を意味します。主な役割は次のとおりです。
- 賃貸の提供と管理
- 賃料の収集
- 物件の保守・修繕
- 入居者とのコミュニケーション
仲介会社や管理会社を利用しない場合、入居者の募集から建物の管理まで、すべてをオーナーが行わなければなりません。オーナーがすべてを担う場合、コストがいっさいかからないため、利益の最大化が可能です。
ただし、賃料の相場がわからず空室率が高くなったり、入居者の問い合わせに対応できなかったりする恐れがあるでしょう。そのため、基本的には仲介会社や管理会社に不動産業務を委託することが多いです。
管理会社の主な業務
管理会社には、さまざまな業務があります。主な業務は次のとおりです。
- 入居者の管理
- 家賃の回収と送金
- 退去後の修繕や設備の修理
それぞれ説明し、その他の業務についても解説します。
入居者の管理
管理会社の主な業務は入居者の管理です。マンションでは、さまざまな問題やトラブルが発生します。国土交通省の資料によれば、平成30年度時点で、55.9%のマンションで「居住者間のマナー」によるトラブルが発生していると報告されています。
出典:国土交通省|平成 30 年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状
管理会社は居住者とオーナーの間に立ち、連絡窓口として機能します。また、建物の不具合などを修繕し、入居者がすこしでも長く快適に暮らしていけるよう対処します。
家賃の回収と送金
家賃の回収や送金も管理会社の業務です。具体的には、入居者の家賃を回収し、管理手数料を差し引いてオーナーに送金します。
単に送金するだけでなく、「家賃が間違いなく入金されているか」の確認も行います。
家賃を支払わない、もしくは家賃の支払いが遅れている入居者に対しては、督促を試みるのも業務の1つです。督促状などで支払いを催告し、場合によっては契約解除や立退きを求めます。
退去後の修繕や設備の修理
入居者が退去する際に、管理会社は立会いを行い、物件の状態を確認します。確認するポイントは主に次のとおりです。
- 部屋の状態
- 退去の理由
- 退去したあとの連絡先
- 公共料金の支払いを停止しているか
- マンションの鍵
部屋の状態は、一般的には国土交通省のガイドラインに従って確認することになります。
入居者が退去した場合、部屋を貸す前のときの状態に戻さなければなりません。これを「原状回復」と呼びます。管理会社は、原状回復のためにクリーニングや修繕の手配を行います。
その他
他にも、管理会社はオーナーから不動産をまるごと借り上げることもあります。このような契約を「サブリース契約」と呼びます。
サブリース契約の管理会社側のメリットは「管理手数料が高くなる」という点です。一般的な管理手数料は総賃収の5%前後ですが、サブリース契約だと10〜20%が一般的です。
一方で、空室や滞納、相場下落のリスクを抱えることになるというデメリットがあります。
仲介会社の主な業務
仲介会社にも、さまざまな業務があります。主な業務は次のとおりです。
- 物件の広告作成や掲載
- 物件の紹介と案内
- 契約手続き
それぞれ解説します。
物件の広告作成や掲載
仲介会社は、物件の広告作成や掲載を行います。入居者は、基本的に不動産ポータルサイトを利用して、不動産会社に問い合わせすることが多いです。
国土交通省によれば、入居者の74.5%が不動産ポータルサイトを用いて情報収集しているとわかっています。
出典:国土交通省|賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査(入居者)
仲介会社は、不動産ポータルサイトなどで入居者を集めるため、物件の魅力を伝えるための写真や動画を撮影して、建物の特徴を説明します。また、間取りや説明文を作成し、入居希望社に物件の特徴や設備を伝えます。
物件の紹介と案内
入居者が現れたら、物件を紹介します。入居希望者に対して内見案内をし、物件の特徴や設備について直接説明する業務です。オーナーや管理会社から鍵を借りるのも、仲介会社の役割となります。
物件の紹介と案内をするのは、個人のお客様だけとは限りません。場合によっては、法人を相手にテナントや店舗の内見案内も実施します。
契約手続き
契約手続きも仲介会社の業務です。契約の前に、重要事項説明を行います。重要事項説明は、必ず契約前に行わなければなりません(※1)。
重要事項説明が終わったら、賃貸借契約書のサインを求め、契約を締結します。
※1 参考:公益社団法人全日本不動産協会|重要事項説明の基本
その他
場合によっては、管理会社が行うことを仲介会社が代行することもあります。たとえば、入居者の契約更新や退去時の精算などです。
このような業務を必ず行うわけではありませんが、上述したように管理業務は宅建士の登録が必要ないため、仲介会社でも行うことができます。
効率的な賃貸管理ならクラウド型賃貸管理システムがおすすめ
効率的な賃貸管理なら、クラウド型賃貸管理システムがおすすめです。クラウド型賃貸管理システムを利用すれば、賃貸管理に関するあらゆる業務を効率化できます。
ここでは、当社の『いい生活賃貸管理クラウド』を例に挙げて、クラウド型賃貸管理システムのメリットを5つ紹介します。主なメリットは以下のとおりです。
- 賃貸管理業務を一元管理できる
- 迅速なシステム機能改善ができる
- アカウントを無制限に作れる
- 直感的に操作できる
- すでに導入済みの会計システムなどと連携できる
『いい生活のクラウドSaaS』には、仲介業務に役立つサービスも提供しています。
賃貸管理業務を一元管理できる
クラウド型賃貸管理システムを使うと、賃貸管理業務に必要なさまざまな情報を一元管理できます。
たとえば、紙や表計算ソフトの場合、同じ情報を何度も入力しなければならないことも少なくありません。場合によっては入力ミスが発生し、トラブルに発展する恐れがあるでしょう。
『いい生活賃貸管理クラウド』では、物件情報と顧客情報が一元化されています。そのため、重複や入力ミスを回避しやすくなり、効率的に業務を進められるでしょう。
迅速なシステム機能改善ができる
従来の管理方法の場合、法改正があるたびに契約書を確認しなければなりません。万が一、法改正前の内容で契約してしまうと、深刻なトラブルにつながる恐れがあるでしょう。また、トラブルを防ぐためにチェックや更新をする場合、膨大な時間がかかってしまいます。
『いい生活賃貸管理クラウド』なら、法改正などがあってもベンダー側(『いい生活のクラウドSaaS』側)が更新を行います。そのため、トラブルにつながる心配はなく、問題がないか時間をかけてチェックする必要もありません。さらに、銀行・住所マスターを更新し、都度アップデートを実施しています。
すでに導入済みの外部システムと連携できる
紙やエクセルだと、外部システムとの連携ができません。たとえば、会計業務を行う場合、別のシステムを立ち上げる必要があります。
『いい生活賃貸管理クラウド』なら、会計ソフトや電子契約システムなど外部システムとも連携可能です。仲介会社向け、売買業務向けなどさまざまなサービスを用意しているため、あらゆる不動産業務全般を効率化できます。
アカウントを無制限に作れる
不動産業務は、さまざまなメンバーとの情報共有が求められます。紙やエクセルの場合、共有するにはコピーして郵送したりpdfにしてメールで送ったりする必要があり、メンバーが増えるにつれて工数もかかってしまうでしょう。
『いい生活賃貸管理クラウド』の場合、無制限にアカウントの作成ができます。いちいち担当者にデータを送らなくても、必要な情報を簡単にどなたでも探し出すことができ、共有自体も簡単です。
直感的に操作できる
「賃貸管理システムは便利そうだけど、年配の従業員が使いこなせるか心配」と感じている方もいるでしょう。しかし、パソコンやITに慣れていない人でも賃貸管理システムの操作は簡単です。
たとえば、『いい生活賃貸管理クラウド』の場合、直感的に操作できます。操作に不安が残る場合でも、導入前後に手厚い運用支援を実施します。システム稼働後も、サポートセンターと担当者がサポートするため安心です。
仲介会社向け『いい生活Square』とは
『いい生活のクラウドSaaS』では仲介会社向けのサービスである『いい生活Square』も用意しています。
『いい生活Square』を利用するメリットは次のとおりです。
- リアルタイムのデータ連携で空室対策を強化できる
- マルチデバイス対応サイトでいつでもどこでも物件検索できる
- 気になる物件がワンクリックで内見予約できる
- 内見時や外出先でも簡単に入居申込できる
- Web申込システムで成約スピードを大幅UPできる
リアルタイムのデータ連携で空室対策を強化できる
業者間サイトの情報は、不完全なものも多いです。申込状況などのステータスが最新の状態になっているかわからない場合も少なくありません。
『いい生活Square』なら、更新後1時間以内は分刻み、1時間経過後は1時間刻みで更新情報が表示されます。常に最新の情報を確認できるため、スピーディーな物件の紹介が可能です。
マルチデバイス対応サイトでいつでもどこでも物件検索できる
内見の際に、入居希望者から新たな条件が出るなど「他の物件を紹介したい」と感じる場面もあります。このような場合、システムの種類によっては、いったん事務所に戻らなければなりません。
『いい生活Square』は、スマートフォンやタブレットでの物件検索にも対応しています。出先でも近隣や他物件の内見を簡単に予約できるため、スムーズです。
気になる物件がワンクリックで内見予約できる
お客様によっては、物件を紹介してすぐに内見を希望される場合もあります。管理会社が業務時間外だった場合、スピーディーな対応が難しくなる可能性もあるでしょう。
『いい生活Square』を利用すると、内見予約をWebで完結できます。管理会社の営業時間に関係なく24時間受付であり、鍵の場所もオンラインで確認可能です。
内見時や外出先でも簡単に入居申込できる
管理会社が業務時間外だと、入居申込が進まない可能性もあります。
『いい生活Square』には入居申込の機能もあり24時間受付なので、管理会社の営業時間に関係なく、内見時や外出先でもスピーディーに手続きを進められます。
Web申込システムで成約スピードを大幅UPできる
従来型の管理方法で仲介業務を行っている場合、申し込みに時間がかかってしまうケースも少なくありません。場合によっては、他社に先を越されてしまう可能性もあるでしょう。
『いい生活Square』ならWebで申し込みが完結します。差し戻しの時間がないため、成約機会を逃しません。
仲介も管理も『いい生活のクラウドSaaS』の導入のご検討を
仲介とは、契約や生活、建物などに関して、入居者とオーナー間の連絡窓口になることです。管理とは、オーナーの代わりに入居者や建物を管理することです。
仲介と管理はまったく違う業務であるものの、どちらも『いい生活のクラウドSaaS』を導入すると業務の効率化が可能となります。『いい生活のクラウドSaaS』はクラウド型サービスなので、初期投資を軽減します。
「業務量を減らしたい」「管理上のトラブルやミスを予防したい」
このように考える場合、まずはお気軽にご相談ください。