学生に特化した金沢大学生協の入居者募集・契約管理でDXを実現!新入生の住まい紹介で賃貸借契約を電子化した施策とは?
導入企業
金沢大学生活協同組合様(株式会社コープ総合リビング石川様)
杉本 恭子様(金沢大学生活協同組合 事業部長)
金沢大学生活協同組合様に、当社の業務クラウドシリーズをご導入いただきました。
学生の住まいに特化したお部屋探し、賃貸管理の運用改善のために当社サービスを選定。
今回は卒業予定の学生の管理から、金沢大学に合格した新入生のお部屋探し、入居申込、合格発表後の契約管理業務について、詳しくお話を伺いました。
金沢大学生活協同組合は、食堂・購買・書籍・学生総合共済・住まい探しなどのサービスを通じて、金沢大学の構成員である学生、院生、教職員の大学生活全般をサポートしています。1961年に創立し、2023年には63年目を迎えました。
子会社の株式会社コープ総合リビング石川を2004年に設立し、学生の住まいに特化した生協オリジナルマンション、生協管理物件を合わせて約1,000戸を管理しています。
目次
システム導入の経緯
生協が行う多様な業務のなかで、住まいの業務を標準化
―システムの見直しを始めた理由を教えてください。
坂口様:業務を標準化して、「誰でもできる状態」にしたいという課題がありました。
大学生協は「幅広い事業をする組織」なんです。
―「幅広い事業をする組織」とは、どういうことでしょうか。
坂口様:住まいのことだけでなくて、例えば食堂もやれば、合宿・語学研修などの旅行関連もやっていたり、書籍や教科書、パソコンなども売っていたり、
購買でごはんやお弁当を売ったりと何でもやっているので、
そういった大学生協の様々な業務全体を統括する店長がどうしても必要になっていくという課題があって、改善をずっと進めていました。
―学生さんのために本当に幅広いサービスを提供していらっしゃいますね。
坂口様:あとは、IT重説の需要も以前より高まってきていましたし、電子契約解禁の流れもあっていち早く対応したかったというのもありましたね。
杉本様:業務処理の効率化のために情報収集をしなきゃと思っていたちょうどそのタイミングで、いい生活さんからご連絡をいただきました。
いい生活のクラウドSaaSを使っている全国の大学生協の事例を何社か教えてもらい、実際に業務が回っているという安心感がありました。
―ご連絡をした時期もちょうど良かったのですね!
杉本様:いい生活さんのオンラインセミナーにも参加して、どういう経緯でシステムを入れたのかとか、大手の不動産会社さんでも活用されているんだというのを知って、いい生活のシステムで業務が標準化されるイメージがわきました。
また、IT導入補助金を活用してシステム導入ができることを教えていただいたのでスムーズに検討できました。
更新管理 送金管理(いい生活賃貸管理 クラウド)
ワンクリックで電子契約を送信し、スピード感のある対応を実現
―退去申請の管理について教えてください。
杉本様:11月〜12月は現在の入居者向けに契約更新の意向確認を行っていて、
更新を希望する方にはクラウドSaaS賃貸管理システム「いい生活賃貸管理クラウド」で更新の契約書を作成して送付しています。
Excelですべてを管理していたときは、誰かがそのファイルを開いていると、閲覧はできても編集ができなかったり、案件の内容を理解している人しか使えなかったりする状態だったので、クラウドSaaS賃貸管理システム「いい生活賃貸管理クラウド」」で管理するようになってからは、確認がかなり楽になりました。
―卒業に必要な単位が取れているかも影響しますよね。
杉本様:希望を言うと、退去するかどうかを決めかねている学生の人数把握が、管理システム上でもっと簡単にできるようになると良いですね。
卒業できるかが年内に決まらない・分からないという人が3月上旬くらいまで一定数いらっしゃって、いままでも情報共有が結構大変だったので、状況確認の進捗が追えるようになって、且つ情報が集約できると良いですね。
坂口様:大学生協が特殊なのかもしれませんがね。部屋を4年で出るとか6年で出るみたいな運用は、一般の賃貸ではあまり起きないでしょうから。
―当社の賃貸管理システムも導入いただきましたがいかがでしょうか。
杉本様:家賃管理と家主送金が連動しているのが良いですね。
物件のデータが約60棟分あるので、データを展開するのがずっと大変だったんです。
以前まではExcelで各物件の月間報告書を開いて、前月までの引き落としデータと突き合わせて今月のデータを作成していましたが、今はクラウドSaaS賃貸管理システム「いい生活賃貸管理クラウド」から引落予定のデータを出力して、銀行のシステムにインポートするだけなので、作業量が少なく済んでいます。
―電子契約との連携機能も、ご活用いただきありがとうございます。
杉本様:クラウドSaaS賃貸管理システム「いい生活賃貸管理クラウド」からワンクリックで、電子契約サービスと連携して契約書を送信できるので、スピード感のある対応ができて良いですね。
新規入居者だけでなく、今年からは更新契約書の電子契約にも対応しました。
入居時に紙で契約書を出していた人たちが契約更新をするタイミングで電子契約を案内していきたいです。
―ありがとうございます。現在クラウドSaaS賃貸管理システム「いい生活賃貸管理クラウド」の稼働準備も進めていただいているため、繁忙期明けにぜひ改めてお聞かせください。
顧客管理(いい生活賃貸クラウド One)
誰でも標準的に仕事ができる環境を整備
―いい生活を導入する前の課題はどういったものでしたか。
坂口様:導入前はとにかく情報の保管場所がバラバラだったので、何か一つ入力や処理を実行すると情報が上手く活用できるとか、連携ができるといったデータになっていなかったんです。
住まい担当で業務に詳しい人にずっと任せていると、「あの人じゃないと分からない」みたいなことが起きやすくなってしまうので、例えば将来的にその人が定年で退職したりすると誰も分かる人がいなくなるような状況を避けたいと思っていました。
いい生活であれば保管場所がバラバラなデータを一元管理することで業務にかける人数を減らせますし、誰でも標準的に仕事ができる環境が整うと思います。
―導入から定着までの苦労はどういったところでしたか。
杉本様:情報を一括して新システムに登録するための情報精査には時間がかかりましたが、そのおかげで情報の棚卸ができました。
システムが変更することでの作業の置き換えを理解するのに少し戸惑う部分はありましたが、特に苦労はなかったかと思います。
ウェブサイト制作・物件広告(不動産会社向けホームページ作成ツール「いい生活ウェブサイト」、いい生活賃貸クラウド One)
ホームページが一新されたことで問い合わせが増えた
旧ホームページ(左) と、不動産会社向けホームページ作成ツール「いい生活ウェブサイト」で制作した現在のホームページ(右)
―ホームページを見やすくしたい希望があったと思うのですが、どういった意図だったのでしょうか。
杉本様:ホームページの見た目を見やすく綺麗にしたいというのが問題意識としてありました。
あとはお客様が空室を検索するときの検索項目をもっと増やしたかったんです。
―旧ホームページには具体的にどういった課題があったのでしょうか。
杉本様:一般的な不動産会社さんのホームページだと、検索条件で「地域」とか「設備」から調べられるのが普通だと思いますが、当組合のホームページだと「住まいを探す」となったときに、以前は家賃とエリア検索くらいしかできませんでした。
昔は件数もそんなに多くなかったためそれでも大丈夫だったのですが、全体的に説明不足なサイトになっていたと思います。
ホームページもこれでようやく一般的な不動産会社さんと同じようにきちんと検索できるようになって安心しました。
坂口様:お恥ずかしい話なんですが、住まい探しのホームページはかなり前に作ったままになっていました。
一応物件紹介もしているし検索もできなくはなかったのですが、一般の不動産会社さんがホームページをどんどん良くしていくので、当組合もまずサイトの見栄えを良くして、中身のコンテンツも良くしていかないと、学生さんや親御さんの目に入らないのではという危機感があり、なるべく早めに刷新した方が良いと思っていました。
いい生活の不動産会社向けホームページ作成ツール「いい生活ウェブサイト」に変えさせてもらってからは、やっぱり印象が違うみたいで、問い合わせも増えている様子があります。
杉本様:ホームページが一新されたことで、「予約したい」という問い合わせが増えました。
物件予約の問い合わせが、前年よりも早く、件数も多かったです。
物件詳細画面で条件を細かく表示できるようになったので、条件面や写真など以前よりも多くの情報を掲載できるようになりました。
検索項目が細かくなり、お客様も探しやすくなったんだと思います。
Web入居申込・住まい相談会(いい生活Square 内見/申込管理)
ネットで検索できる情報は学生側が事前に細かく調べてきている
―システムの選定にあたって、譲れなかった条件はありますか。
杉本様:特に譲れない条件というのはなかったですね。
申込情報はお客様から書いていただいたものを見て手入力していたので、「とにかく変えねば」という状態でした。
ただ、お部屋の『仮予約』のところはどうなるのかなというのは、すごく考えながらやっていたと思います。
―貴生協が実施している『仮予約』について教えてください。
杉本様:合否がまだ決まっていない受験生に対して実施しているサービスで、合格したらお部屋を契約することを前提にお部屋を仮で予約できます。
合格発表前にお気に入りのお部屋を押さえることができるとご好評いただいています。
仮予約の件数は、2023年の方が前年よりも数十件増加していました。
コロナ禍の影響もあったとは思いますが、それでも件数としては増えていると思います。
―「仮予約」、学生さんにはかなり便利そうですね。
杉本様:2月下旬の前期試験前日と試験当日には、「受験に金沢に来たついでに住まいを探したい、お部屋を決めてしまいたい」という方向けの住まい相談会を実施しています。
お部屋の見学を希望される方には見学の手配をしたり、ご希望の方にはその場で物件の合格前予約(仮予約)をして、覚書の取り交わしまで行っています。
坂口様:事前にネットで細かく調べてきて、大学生協も他社の不動産会社も両方まわって、そのなかで気に入った物件を選ぶ方もいますし、
ほとんどネットでやり取りしてそのなかで決める方もいらっしゃいます。
お部屋探しの早期化の影響もあって、仮予約の数も増えてきました。
学生さんも大学生協に直接来る回数を減らしていますし、家にいても調べられるだけの情報が手に入る環境など色々な条件が整ってきて、さらにIT重説もできてしまうので、なるべく来る回数を絞る方向にシフトしている感じです。
契約管理(いい生活賃貸クラウド One)
使う人に寄り添ったシステム
―実際に良くなったところ、実感しているところを教えてください。
杉本様:どの顧客が何を借りているかをワンクリックですぐ見ることができるので、すごく助かっています。
いい生活だと、例えばAマンションの201号室に住んでいる人って検索したら、情報が一覧でバーっと出てきますよね。
そこで名前をクリックすると、この人が何を借りているのかをすぐに見ることができたりとか、解約の場面で他に何の契約があるかが見られたりするので、使う人に寄り添っているなと感じました。
坂口様:「このファイル探して」「このデータを探して」みたいなことが一瞬でできちゃうので、すぐ次の業務に支障なく本当にシームレスにやれますよね。
時間がかかってしまって結果的に居住者の方に迷惑がかかるということにもなりかねませんしね。それに紙で管理していると働く側も気持ち的に業務の負担感が大きくなりますしね。
「あれどこかな」とか探さないといけないと思うと、ちょっと面倒くさいと思ったりもすると思うので、そういうのがやっぱり心理的にも働きにくくなりますから、システム化したことで仕事に集中できるような仕掛けになっているのかなという印象はありますね。
―導入から定着までの苦労 最初にデータをまとめて入れるところは大変でしたか。
杉本様:そうですね。教えていただきながらデータを入れるんですけれども、
こちらも何が正しい情報か、その情報がどこまで正しいのかって分からないままで
調べながら入れていくみたいなところもあって、
情報の精査自体も大変だったのと、作業自体も大変だったことは確かにありました。
でもいい生活の担当さんからのサポートがあったので、賃貸募集はなんとか新学期に間に合いました。
―電子契約を始めた時に戸惑ったこともあったのでしょうか。
杉本様:契約書発行の面では、確かに電子契約の部分で不安がありました。電子契約に慣れていないお客様だと「紙で見たい」「紙じゃないと嫌だ」というお声もあるのではないかと思っていましたが、実際にやってみると「紙じゃないと嫌」というお声はなく、紙で見たいという方もかなり少なかったので、すんなり受け入れられたのではないかと思います。
入居者アプリ・ネット口座振替(いい生活Home、いい生活Pay 口座振替)
「何かあったらアプリで連絡できる」という安心感
―「いい生活Pay 口座振替」や入居者コミュニケーションアプリの「いい生活Home」は、学生にどのように浸透させていったのでしょうか。
杉本様:入居が決まった段階で、「いい生活Pay」のネット口座振替と、入居者アプリ「いい生活Home」の入居者アプリインストールを案内していました。今年の新規入居者には全員に案内して好評でしたよ。
―入居者アプリ「いい生活Home」はどのくらい入れていただいているのでしょうか。
杉本様:2023年に入居した新入生全員がインストールしてくれています。
入居者数に対してインストール件数が多いのでなんでかなと思ったんですが、親御さんも入居者アプリ「いい生活Home」を登録されているのだと思います。
―導入して良かったと思うことを教えてください。
杉本様:電話でなくても問い合わせ可能になっているので、入居者アプリ「いい生活Home」の導入で、入居者への連絡手段が一つ増えました。
お知らせを流す対象を選んで一括で送信できるのが助かっています。
メールでの連絡だと、「どこの入居者で、何号室なのか」を調べるところから始まることもありますし、検索しても履歴が出てこなかったりするのですが、入居者アプリ「いい生活Home」からの問い合わせだとその手間がないですし、入居者に対して問い合わせ履歴が残るので、「以前こんなことがあった方だな」というような過去の履歴も調べやすいです。
坂口様:とりあえず入居者アプリ「いい生活Home」があれば、いざというときに連絡できるってことが入居者自身も分かっていて、「何かあったらアプリで連絡してね」というだけで話が通じるので、コミュニケーションがかなり取りやすくなりました。
こちらからも何かあればプッシュ通知でも配信できるので、やっぱり非常にありがたいですね。
今後の展望・いい生活への期待
―最後に、これから取り組んで行きたいこと、今後の展望を教えてください。
杉本様:退去申請から退去後の対応をクラウドSaaS賃貸管理システム「いい生活賃貸管理クラウド」で管理できるようにしたいですね。前半でお話しした、「退去するかどうかを決めかねている学生」の進捗状況を、ExcelではなくクラウドSaaS賃貸管理システム「いい生活賃貸管理クラウド」でも管理できるようになると嬉しいです。
あとは新規入居者だけでなく、既存の入居者にも入居者アプリ「いい生活Home」をもっと使ってもらえるように案内していきたいです。
坂口様: 入居者アプリ「いい生活Home」は導入する前から結構期待していたんです。
実際にきちんと運用もできて、かなり良くなってきています。
今後もいい生活のクラウドで一元化されたデータを活用して、更なる業務の標準化をしていきたいと思います。
今回のお話の中には、全国の大学生協様や学生向けのお部屋探しに特化した会社様にも参考にしていただける内容が多いと感じました。
今後、クラウドSaaS賃貸管理システム「いい生活賃貸管理クラウド」の家賃管理、送金業務まで活用が進んだ際には、第2弾のインタビューもさせていただきたいと思います。
インタビューにお答えいただき、ありがとうございました!
<取材日:2023年11月17日>